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第1回UNDP職員リレーエッセイ「開発現場から」 UNDPスーダン事務所 和泉寿之さん2011年11月22日 スーダンでUNDP職員として働く和泉さん=後部列、右から2番目= UNDPスーダン事務所 スーダンは7月に南部が独立するまでアフリカ最大の国土を有する国で、西ヨーロッパがすっぽり隠れるぐらいの大きさでした(ちなみにスーダン西部に位置するダルフールはフランスと同じぐらいの大きさです)。南部独立後の現在はアルジェリア、コンゴ民主共和国に次いで、第3位の面積を誇ります。国連PKOミッションは現在ダルフールとアビエイにそれぞれ入っていて、一つの国にふたつのPKOミッションが入っているという、珍しい国です。 UNDPスーダン事務所は、アフガニスタン事務所に続き世界で2番目に大きいカントリーオフィスで、約300人ほどのスタッフが働いています。重点分野としては三つあり、(1)民主化支援や法の統治、(2)貧困削減、そして私が所属する(3)危機予防・復興、となります。危機予防・復興といっても、DDR、地雷処理、環境、生計向上、復興支援や平和構築、紛争予防など多岐にわたります。 私は、平和構築や紛争予防のプロジェクト管理を担当していて、現在5つのプロジェクトを任されています。具体的には、紛争後の地域で、NGOや地方政府と協力して給水施設や学校建設などの復興支援をとおして、紛争が再発しないように目に見える形での「平和」を提供したり、土地や水を巡る部族同士の争いの要因分析や調停、その後のフォローアップなどを、地方政府と部族リーダーたちと一緒になってやっています。 40年にも及び紛争が続いてきたスーダンでは、これまでに国レベルから部族間同士のものまで、数多くの合意文書や調停がなされてきましたが、その多くが長続きせず、うまく行っていません。その一番の原因は、合意文書に署名するところだけに重点がおかれ、そこに至るまでのプロセスや根本的な原因を分析しなかったり、合意文書を実施する政府機関のキャパシティーが低かったり、その後のフォローアップが不十分だったりするためです。私が担当しているプロジェクトでは、政府機関の分析能力の向上や、調停プロセス、フォローアップをサポートしています。また、スーダンでは公式な地図がまだないので、どの村のどの場所に井戸や学校があり、どういったルートで家畜や人が移動し、どこでどういう争いがどういう要因で起きているか、といった情報をGISを使って視覚化して地図にして、分析やプランニングに役立てるプロジェクトもしています。 JPOを始める前に尊敬する恩師からいただいた「JPOは死ぬほど働かないと残れないよ」という、厳しくも有難いアドバイスを忠実に守るべく、この3年間まさに突っ走ってきた感がありますが、同時に、素晴らしい上司や同僚に恵まれ、楽しく充実した3年でもありました。時には「国際機関」であるが故発生する国連の抱える課題にぶつかることもありましたが、それを補ってあまりある国連の魅力や可能性を知ることができ、今後もそうした環境の中で切磋琢磨していきたいと考えています。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 和泉寿之(いずみひさし) Programme Analyst 危機予防・復興ユニット UNDP スーダン事務所 1977年、宮城県仙台市生まれ。英国London School of Economics and Political ScienceでMSc in Development Management(修士号)を取得。民間企業、NGO(インド)、日本大使館(エチオピア) の勤務を経て、2008年9月からUNDPスーダン事務所に勤務。主に、平和構築や紛争予防のプロジェクト管理、評価、案件形成、資金調達を担当。スーダン・ハルツーム在住。 |