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人間開発報告書2005年版 ─ 「岐路に立つ国際協力:不平等な世界での援助、貿易、安全保障」
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・ | 紛争のおそれのある国(conflict-prone)への援助。 「紛争のおそれのある国、あるいは紛争後の国への援助を止め、資金を枯渇させることは正当化できない。それは、当事国における人間の安全保障、ひいては世界全体の安全保障に悪影響を及ぼす。」 近年の紛争後の国々に対する1人当たり援助額は、ボスニア・ヘルツェゴビナの245ドルから、アフガニスタンのわずか40ドルまでと大きな開きがある。援助国は、援助全体を増額すると同時に、援助割り当ての条件、あるいは紛争のおそれのある国への拠出を削減する場合にはその理由について、透明性を高める必要がある。 |
・ | 集団的安全保障への総合的取り組み。最近発表された国連事務総長の報告書は、集団的安全保障への総合的取り組みに向けた戦略的枠組みを構築するために、平和構築委員会の設立を求めている。その取り組みの一環として、紛争直後の支援と長期的な復興への移行過程のための、長期的で予測可能な財政支援を目的とする国際基金が設立されるべきである。 |
・ | 地域のキャパシティの確立。現在緊急の優先課題は、財政支援や技術支援、後方支援を通じ、十分に機能するアフリカ連合の待機軍を整備することである。 |
・ | 小型武器流通の遮断。2006年の小型武器問題検討会議は、市場を規制して武力紛争地域への供給を抑制するための、包括的かつ強制力を持つ武器貿易条約に合意する機会を提供することになるだろう。 |
・ | より透明性の高い天然資源管理。鉱物輸出に携わる多国籍企業は、紛争資金の調達を助け、また時として説明責任のある政府に悪影響を与えることもある天然資源市場の関係者として、貧困国における活動の透明性を高めるべきである。また各国は、英国政府の主唱によって開催されたアフリカ委員会が提唱した法的枠組みを優先的に整備すべきである。そして、それによって、米国の法律ではすでに施行されているように、多国籍企業の海外での不正行為が本国で確実に訴追されるようにすべきである。 |
以上
本報告書について: 1990年以来、「人間開発報告書」は国連開発計画 (UNDP) の委託を受けて毎年作成され、独立した専門家チームが世界的に注目される主要な問題を検討してきた。学界、政界、市民社会の指導的立場の人々による世界的な諮問ネットワークが、本報告書で発表される分析と提言を支持するために、データ、見解、最善の慣行を提供している。人間開発の概念は、人間の進歩の尺度として1人当たり所得、人的資源開発、基本的ニーズを超えたところを見据え、人間の自由、尊厳、人間の活動などの要素、すなわち開発における人々の役割も評価する。『人間開発報告書2005』は、開発とは、単なる国民所得を上昇させることではなく、最終的には「人間の選択肢を拡大するプロセス」であると論じている。