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プレスリリース アンマン(ヨルダン)-2005年4月5日
UNDP、第三作目のアラブ人間開発報告書を発表

本日、第三作目のアラブ人間開発報告書『アラブ人間開発報告書2004』(AHDR2004)が発表された。国連開発計画(UNDP)、アラブ経済社会開発基金(Arab Fund for Economic and Social Development)、国連開発機関アラブ湾岸プログラム(Arab Gulf Programme for United Nations Development Organizations)による支援のもと、指導的立場にあるアラブの学者および知識人から成る独立したグループによって執筆された本報告書は、アラブ世界の政治的変化の速度を体系的に調査し、新たな域内人権機関の創設や、健全かつ自由な選挙による立法議会の実現、完全に独立した司法機関の設置といった具体的な提案とあわせ、民主的改革の加速を強く促す内容となっている。

AHDR2004は、自由の制度的基盤を強化し、同地域の大半の国々で為政者が享受している権力の独占状態に制限を加えることを目指す上で必要とされる、数多くの遠大な法制度および政治改革を実現するための説得力のある詳細な事例を提示している。執筆陣は、このような広範にわたる是正措置を勧告する一方、改革に向けて差し当たり必要とされる以下の事項を強調している。

  • 言論、表現、結社にかかわる主要な自由の全面的尊重。
  • 社会的団体および少数派に対するあらゆる差別の撤廃。
  • 司法独立の保証および軍事法廷その他の「特別」法廷の廃止。
  • 同地域のガバナンスにおいて恒常化した「非常事態」の終焉。

AHDR2004執筆陣は、アラブ世界における民主化の進展を高く評価する一方、同地域の権威主義体制の根源を分析し、一刻も早くこれを是正するよう勧告している。報告書では、過去数年間にわたってアラブ世界で強まってきた政治的変化への圧力を詳述するとともに、アラブ地域の政府が加速度的に改革に向かわない限り、彼らは「無秩序な」社会的大変動に直面するであろうと警告している。

執筆陣は問う。「なぜ、世界中の地域のなかでアラブの人々が享受する自由がもっとも少ないのか」「アラブ地域の民主制度(そのようなものが存在するとすれば)から、自由の堅持という当初の目的を剥奪したものは何か」。

執筆陣は、これらの問いへの答えを域外専門家が主張するような文化的要因に求めるのは間違いであるとし、域内の政府当局による数十年間にわたる「非常時の権限」の行使、独立した司法および議会に対する制度的弾圧、そして、彼らが政治的安定と資源エネルギーへのアクセスと引き換えに権威主義的な統治を承認どころか奨励すらしてきたという、域外政府による「ダブル・スタンダード」に言及しつつ、その答えを政治に求めている。

執筆陣は、アラブ自身が変化に向けて踏み出さなければ、グローバルな諸勢力が立ち入り、外部から改革のプロセスを主導することになると論じ、彼らの同朋であるアラブの知識人や活動家に対し、自由とグッド・ガバナンスを先導するよう、強く求めている。内部の改革者にとっての課題は、「権力と富におもねることなく、ましてや平和的且つ効果的な行動を阻まれた多くの怒れる若者を引き込むことになる、絶望と暴力への道を辿ることもなく、自身とアラブ世界のために中庸路線を築くことである」。

『アラブ人間開発報告書2004』(AHDR2004)は、4冊シリーズの第三作目となる。第一作目の報告書(AHDR2002)は、新たな千年紀の始まりにあたって22のアラブ諸国が直面している最も重要な開発課題を主題とした。同報告書は、知識、自由とグッド・ガバナンス(良き統治)、女性の地位向上という3つの分野において主要な欠落を見出した。第二作目の報告書(AHDR2003)は、アラブ社会における知識格差の拡大に焦点をあて、教育・研究分野への重点的投資と開かれた知的探求の促進、外国との交流と報道の自由の拡大を勧告した。執筆陣は、過去3年間の地域全体を通じた政治改革への取り組みを概観した第三作目となる今回の報告書について、「自由の拡大とグッド・ガバナンスの確立に関するアラブ社会の対話を促進させる」ものとなることを期待している、と述べている。

『アラブ人間開発報告書2004』(概要)

以上

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