ターゲット2-A:2015年までに、世界中のすべての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする。
Human Security Unit,the United Nations;Photograph by Julie Pudlowski
国連で1989年に採択された子どもの権利条約は、子どもが教育を受ける権利を認め、子どもの人格、才能、そして精神的および身体的な能力を、可能な限り発達させることを求めています(第28、29条)。教育は人が人間としてより豊かな人生を送るために必要不可欠なものと考えられています。
子どもの就学率は年々改善されていますが、いまだに世界では10人に1人の子どもが学校に通えずにいます。サハラ以南アフリカでは、4人に1人の割合です。同地域の中でも、9ヵ国は90%以上の就学率を達成している一方、就学率そのものが減少している国もあります。また、学校を途中で辞めてしまう中途退学率が高いのも大きな課題です。2007年時点で、南アジアとサハラ以南アフリカを中心に7200万人の子どもが学校に通えない状態にあります。このうち半数は正規の学校授業を受けたことがありません。特に深刻なのはサハラ以南アフリカです。学校に通っていない子どものうち3人に2人は、学校に登録したこともありません。
そして学校に通えないでいる子どもの54%は、女子が占めています。
彼らが学校に通えない原因は複数あります。
Human Security Unit,the United Nations;Photograph by Julie Pudlowski
家庭や地域が貧しく、生活のために学校に通えなかったり、両親の教育への理解不足により、子どもが家事手伝いや賃金労働に従事させられる場合があります。
また、通学にかかる時間や学校への道のりの安全面への不安、学校の設備や教員の能力の不足、その国の政府の計画・管理能力が十分ではないために、生徒の学習達成度が低く、途中で学校を辞めてしまうことも報告されています。
自分の所属する民族集団、宗教、言語などによって、就学に差が出る場合があります。たとえば少数民族の言語を使う子どもは、学校で使用する言語の問題から、多数民族の子どもと比べて授業についていくことが難しくなるおそれがあります。
Human Security Unit,the United Nations;Photograph by Julie Pudlowski
教育は、すべての人間が人間らしく生き、尊厳ある生活を送るだけではなく、より高いスキルを身につけて、貧困から脱出するためにも不可欠です。子どもが健やかに育ち知識を十分に与えられることで、成人してから安定した収入を得て、貧困から脱却することが可能となります。
すべての子どもが初等教育の全過程を終了するということと同じぐらい重要なのが、読み書き計算能力を身につけられる質の高い教育です。このような教育を受けることで、子どもたちは高等教育に進み、より高度な知識と能力を身につけ、人生の可能性を切り開けるようになるのです。