2004年03月18日
日本の支援を得て“対ウクライナ情報技術移転プロジェクト”が始動
国連開発計画(UNDP)はこのほど、日本、ポーランド、ウクライナの3ヵ国政府の協力を得て、“対ウクライナ情報技術移転プロジェクト”を始動させます。日本政府の支援を得て実現した、総額35万ドル、3年間の同プロジェクトでは、遠隔教育の推進およびウクライナ国内の大学内に設置される遠隔教育拠点間のネットワーク整備が実施されます。今後2年間をかけて、ウクライナ国内の各拠点に対する機材の供給、指導スタッフの雇用、試験的コースの運営、学生の選抜等の準備が行われ、2005年には第一期生の受入れが可能となります。
同プロジェクトは、日本政府の支援によりポーランドに設立されたポーランド・日本情報工科大学(PJIIT)およびウクライナの教育機関、3ヵ国政府との連携のもと、UNDPポーランド事務所では「UNDPアンブレラ・プロジェクト」により、またウクライナ事務所では「革新的出発点:ウクライナ繁栄のための情報通信技術」により、運営されています。
PJIITは、ウクライナへのノウ・ハウ移転を目的とした同プロジェクトにおいて、重要な役割を果たしています。「本プロジェクトにより、ポーランドのPJIITで獲得された経験を、ウクライナでも活用できるようになる。また、ポーランドで既に活用が始まっている技術的プラットフォームを遠隔地学習や教授法の分野に役立てる上でも、我々には貢献の余地がある」と、PJIIT のJerzy Pawel Nowacki学長は語っています。
また、同プロジェクトにおける3国間協力は、ポーランド・ウクライナ間の東・東協力の最良のケースとなると同時に、同地域における国際協力活動に画期的な枠組みを提供することでしょう。日本は、IT分野、特にソフトウェア・エンジニアリング、マルチエージェント・テクノロジー、マルチ・メディア等の分野においては、世界でも最高水準の技術を擁しており、このような日本の技術と経験の移転により、最先端の研究がより効果的に実施されることが期待されています。またポーランドは、経済的援助は提供できなくとも、持続可能な発展のために知識の移転を必要とする国々と、経験やノウ・ハウを共有することができます。これは、近隣諸国との国境を越えた協力関係の強化に向けた方策のひとつともいえます。他方、ウクライナの大学は、学位取得者の人数、特に、ビジネス志向の強いプログラミング技術と巧みな英語能力を持ち合わせたソフトウェア・エンジニアの人数の継続的増加に向けた支援を必要としています。同プロジェクトによって実現されるインターネットを通した学習は、日本・ウクライナ・ポーランドの大学間におけるコンピュータ分野での質の高い共同研究プログラムへと進展する可能性も含んでいます。
今回の3国間協力は、ミレニアム開発目標(MDGs)で「目標8」に掲げられている、「開発のためのグローバル・パートナーシップの推進」にも合致しており、ウクライナが貧困削減および教育関連のMDGs諸目標を達成する上でも、大いに役立つことが期待されています。
以上
“対ウクライナ情報技術移転プロジェクト”主要パートナー
<国連開発計画(UNDP)>
国連開発計画(UNDP)は国連システムのグローバルな開発ネットワークとして、変革への啓蒙や啓発を行い、人々がよりよい生活を築けるよう、各国が知識や経験や資金にアクセスできるよう支援しています。われわれは、166カ国で活動を行い、各国の人々と共に、グローバルな課題や国内の課題に対し、それぞれの国に合った解決策が見出せるよう取り組んでいます。それぞれの国の能力強化にあたっては、UNDPのスタッフの知識や幅広い分野のパートナーシップが役立っています。
<日本政府>
日本政府は1989年より、ポーランドの市場経済への円滑な移行を支援してきました。日本は2002年までにポーランドに対し、JICA(国際協力事業団)のオフィスを通じて、約700万ドルに相当する技術協力を提供してきました。この協力には、200名以上の日本人専門家/技術者、約90名の青年ボランティアの派遣、ポーランドからの750名以上の訓練者受入れ、設備や開発研究に対する支援提供などが含まれています。
1989年には、日本政府からポーランド政府に供与された小麦粉の売却資金を利用して、カウンターパート基金が設立されました。同基金の出資により、現在までに36のプロジェクトが実現され、ポーランドの経済的社会的発展に貢献しています(日本文化・技術センター、ポーランド・日本情報技術機関、 UNDPアンブレラ・プロジェクト、その他の協力プロジェクトなど)。
<ポーランド・日本情報工科大学(PJIIT)>
1994年に日本政府とポーランド政府の間の合意に基づいて設立された、技術者研修および修士号取得プログラムを備えた私立大学。同機関は、EU、アメリカ、日本の大学と数多く提携しています。また、日本政府から次のような経済的支援を受けています。
・1994−2003年:ポーランド政府と日本政府の合意のもと、「日本カウンターパート基金」から330万ドルの支援を受ける。
・1996−2001年:JICAの援助のもと、機関の支援のための5年間、総額550万ドルプロジェクトを実施。
・2002−2004年:JICAプロジェクト(前項の補足)。50万ドル。
・1999−2004年:JICAプロジェクト(東欧・中欧諸国へのIT移転)。40万ドル。
・2005−2009年:「PJIIT内における東欧・中欧諸国のためのIT教育センターの設立」(準備中)
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