2004年07月27日
東京
紺野美沙子UNDP親善大使、東ティモール訪問から帰国
紺野美沙子 国連開発計画(UNDP)親善大使は、7月18日から23日(ディリ発着)の日程で東ティモールを視察訪問しました。訪問中、紺野美沙子さんは、UNDPが関連する5プロジェクトを視察し、元兵士や農民、学生などのさまざまな受益者と交流を深めたほか、シャナナ・グスマン同国大統領や女性国会議員らと会見しました。また、同じ時期に同国を訪問した外務省主催の ODAモニターと、日本政府拠出のプロジェクトを合同視察する場面もありました。
約1時間に及んだグスマン大統領との会見において、大統領は東ティモールの将来について、個人レベルでの意識改革が必要であるとしたうえで、過去の歴史を踏まえて、かつて敵対したもの同士が互いを「許しあい」、国の発展のために結束することの重要性を説きました。紺野美沙子さんは会見後、地元メディアの取材に対し、この国を発展させるうえで重要なのは、国民 1人1人が国を思う気持ちであることを強調し、東ティモールで達成されつつある復興・開発の成果は、貴重な成功例として、紛争後の平和構築に取り組む他の国々にとっても大いに参考となることでしょう、とコメントしました。
会見ではまた、紺野美沙子さんからグスマン大統領にサッカーボールが贈呈されました。このボールは、今回の訪問に合わせて、アディダス・ジャパン社よりUNDP 東京事務所に寄贈されたもので、訪問先の各地でも、プロジェクト受益者を中心とした学生・子供達に、紺野美沙子さんから直接贈呈されました。「アイナロ・マナトゥトゥ・コミュニティ活性化プロジェクト(AMCAP)」視察のため訪問したアイナロ県マウビセでは、受益者の子供達が通うホロライキーク小学校にサッカーボールが寄贈され、真新しいボールで早速サッカーに興じる子供達の姿が見られました。
先ごろ発表されたUNDP『人間開発報告書2004』において、人間開発指数(HDI)が177カ国中158位と、アジア地域でも最下位にランキングされた東ティモール。なかでも国内で最も貧しい地域のひとつとされるアイナロ県では、日本政府の拠出する「国連人間の安全保障基金」の支援を受けてUNDPと国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)が実施するAMCAPの一環として、食糧の安定確保および地域社会の活性化を目的とした様々なプログラムが行われています。紺野さんは7月20日、ODAモニターとともに同地を訪問し、段々畑の開墾や家畜の感染症予防、地域社会により運営される苗育成施設等の農業関連プログラムを視察しました。
紺野さんは東ティモール訪問を終えて、「東ティモールはいま、ながい闘いの末ようやく手にした『平和』をかみしめているようです。この『平和』なくしては、どのような開発の努力も実ることはありません。ようやく開発へのスタート地点に立ったこの国を、これからも長い目で見守ってゆきたいです」と述べています。
以上
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