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2006年04月26日

キエフ(ウクライナ)、ミンスク(ベラルーシ)、モスクワ(ロシア連邦)


チェルノブイリ原子力事故から20年-被災地域における国連諸機関およびUNDPの取り組みと今後の課題

 1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故から20年目を迎えた4月26日、国連は国際社会に対し、被災地域の社会復興活動への支援を改めて呼びかけました。

 ケマル・デルビシュ国連開発計画(UNDP)総裁は4月28日、ニューヨークで開催されたチェルノブイリに関する国連特別総会において、「国連の場でチェルノブイリ事故20周年を振り返ったことを受け、我々は同事故により被害を蒙った人々との連帯、復興への取り組みに向けた支援継続を再確認する。今こそ、この悲劇によって人生が一変してしまった人々がよりよい未来に向けて前進する時である」と述べました。

 国連のチェルノブイリ支援戦略は、2002年より緊急支援から長期復興・開発へと移行し、1)地域経済および社会開発、2)事実に基づいた信頼性の高い情報の提供、3)政策提言、の3分野に焦点をあてた活動が展開されています。UNDPは2004年より、チェルノブイリの諸課題に関する国連システム全体を通じた調整役を担っています。

 UNDPは、チェルノブイリ原子力事故により引きおこされた人口の移動と経済活動の停滞、さらにはソビエト連邦解体によりもたらされた混乱等の社会・経済的機会の欠如を、同事故によって大きな被害を受けたベラルーシ、ロシア連邦およびウクライナが直面する最大の課題として認識しています。

 2003年には、被災者、各国政府および国際機関により、チェルノブイリ原子力事故が健康と自然環境に及ぼしたインパクトについて正確な認識を共有することを支援する目的で、国連8機関及びベラルーシ、ロシア連邦、ウクライナの代表から構成される機関である「チェルノブイリ・フォーラム」が設立されました。UNDPの社会経済開発は、同フォーラムの勧告の趣旨とも一致するものです。

 ベラルーシの首都ミンスクで開催された記念式典に参加したアド・メルケルト国連事務次長(USG)兼UNDP副総裁は、「チェルノブイリの犠牲者を追悼し、過去を振り返ると同時に、未来にも目を向けねばならない。チェルノブイリ復興への取り組みに対する評価を通じて、未来への希望を見出すことができるであろう」と述べています。

 チェルノブイリ・フォーラムは昨年9月、数百人の科学者、経済学者および保健衛生専門家による調査結果を発表しました。それによると、チェルノブイリ事故は甚大な健康被害をもたらした極めて深刻な事故であるものの、同事故による健康および環境への影響評価ではおおむね安心できる結果が伝えられました。同調査報告は、国連が社会開発努力を実施してゆく上での、大きな励みとなりました。

 国連の諸専門機関はこれまで、チェルノブイリ事故の影響を受けたコミュニティに対し、持続可能な開発に向けた支援策を実施してきました。世界銀行はベラルーシに対し、同事故の被災地域におけるエネルギーの効率化促進プロジェクトについて5,000万ドルの有償資金供与を承認したのをはじめ、世界保健機関(WHO)は今月、チェルノブイリの健康被害に関する最も包括的な科学的報告書を発表し、今後も遠隔治療法や教育プログラム、支援のための研究活動の確立を通じて被災者のための医療体制向上に対する取り組みを続けています。また、国連児童基金(UNICEF)は、被災3カ国において、精神発達遅滞の主要因であり、妊産婦や幼児に罹患の恐れがあるヨウ素欠乏症への対応策として、ヨウ素添加食塩の普及を推進しています。

 ベラルーシにおいては、UNDPが「再建のための連携(CORE)プログラム」を通じ、新規雇用の創出による地域インフラの再生と地元歳入の増加を支援しています。ウクライナでは、UNDPの「チェルノブイリ復興開発プログラム(CORE)」が、人口約2万人を擁する139市町村の207団体に資金を提供しています。これらの団体は、地域コミュニティの必要性の優先順位に応じ、地元主導のプロジェクト実施を通じて地域の需要に対応し、自立心の醸成にも役立っています。学校改修、医療施設や青少年センターの建設などのプロジェクトがその典型的な例です。青少年センターは、若年層にとってコンピューター技術の習得、健康的な生活スタイルの学習や社会活動への参加の場が限られている小規模な農村においては、特に重要な施設となっています。

 カルマン・ミジェイ国連事務次長補兼UNDPヨーロッパCIS局(EBEC)局長は、これらのプログラムが地域社会に与える影響の重要性を「深い無力感を活力へと変える」ものであると強調しています。

 同氏は更に、「住民が自らの決定権を行使できるよう促すことで、堅固な民主主義のための地域基盤の創出を支援していることを確信している」と述べています。また、ミジェイ局長は、同地域の経済および社会の再活性化に向けて、同地域に対する国際社会からの継続的支援を要請しています。この要請は、チェルノブイリ原子力事故20周年にあたってコフィ・アナン国連事務総長より発表されたステートメント(「国際社会にとって、チェルノブイリの被害者に哀悼の意を表するための最善策は、トラウマを負った地域社会が自己充足感を取り戻し、被害者の家族が健康な日常生活を再開できるよう、寛大なる支援を提供することである」)にも裏付けられたものです。

チェルノブイリ原子力事故に対する国連の取り組みに関するウェブサイト(英文)
The United Nations and Chernobyl

以上


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