2006年07月31日
ミレニアム開発目標達成のためには貧困女性への投資が不可欠:UNDP、日本政府と共に「ジェンダーに配慮した予算」に関する国際シンポジウムを開催
「ジェンダーに配慮した予算(Gender Sensitive Budgets:GSB)」に関する国際シンポジウムが、内閣府・外務省・国連開発計画(UNDP)による共催、国際協力機構(JICA)と国際協力銀行(JBIC)による協力の下に、本日、東京にて開催されました。このシンポジウムでは、予算やマクロ経済の中にジェンダーの視点を取り入れることがジェンダー平等とミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)達成を実現する重要な手段であるとし、そうした経済と予算をいかに推進していくかについて議論が行われました。主な議題は以下のとおりです。
・マクロ経済や予算はジェンダーに中立的か。
・中立的でない場合、男性と女性はどのように違った影響を受け、その違いは何に起因するのか。
・ジェンダー平等とMDGsという国際的な目標を効率的かつ公平に達成するためには、公共の財源をどのように有効活用すべきか。
本シンポジウムは西本昌二UNDP 開発政策局(BDP)局長による開会の辞に始まり、続いて猪口邦子内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)および佐藤重和外務省経済協力局長から開会の辞を賜りました。猪口大臣からは、特に、「ジェンダー・センシティブ・バジェティングの推進は、ジェンダー主流化、特にマクロ経済・ミクロ経済の枠組みにジェンダーの視点を取り入れるツールの一つであり、ジェンダーの平等のさらなる推進と限られた公共資源を効率的に活用することを狙うものです。また、女性の「声」を意思決定過程に反映させグッドガバナンスを実現するための手段です」という貴重なご意見を賜りました。
その後、GSBに関する世界的権威である、レビー研究所ジェンダー平等と経済プログラム・コーディネーターのダイアン・エルソン英国エセックス大学教授が、ジェンダーとマクロ経済/予算との関係について、またMDGs達成のためのGSB活用方法について基調講演を行いました。さらに、BDP貧困削減顧問であるセリム・ジャハン氏が開発の現場におけるGSBへの取り組みについて具体例を挙げながら説明し、続いてフィリピン、セネガル、グルジア各国の代表がそれぞれの国での取り組みを報告しました。最後に、目黒依子上智大学教授・国連婦人の地位委員会日本代表がモデレーターとなり、「MDGs達成に向けて:ジェンダーに配慮した予算の活用」をテーマにパネル・ディスカッションが行われました。
パネル・ディスカッションでは、(1)MDGs、予算(国家予算とODAを含む)、そしてジェンダー平等の関連性、(2)開発のプロセスと成果において、GSBがいかにジェンダー平等と社会的平等を達成するための重要な手段となりうるのか、そして最後に(3)MDGs達成に向けた開発支援に関する最近の議論に照らし合わせ、GSBをどのように活用すれば開発効果を向上させていくことができるのか、という点について議論が行われました。
このシンポジウムは、現在UNDPが実施中の「ジェンダーに配慮した予算編成:MDGs達成に向けた貧困女性への投資」プロジェクトの一環として、UNDP/日本WID基金よりの資金協力の下に開催されたものです。WID基金は、1995年に北京で開催された第4回国連女性会議を受けて日本政府の拠出によって設立されて以来、2006年7月現在までにこのプロジェクトを含め71件のプロジェクトを支援しています。
UNDP/日本WID基金に関する情報は以下のサイトより入手可能。UNDP/日本WID基金ホームページ(英語)
http://www.undp.org/women/japan/index.shtml
以上
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