2008年02月27日
ビル&メリンダ・ゲイツ財団がUNDPの西アフリカにおける女性の経済機会拡大プロジェクトに1900万米ドルの資金提供を実施
<ダカール、2008年2月22日>
ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、国連開発計画(UNDP)が支援する、低コストの動力機導入による女性農業従事者の生産性と所得の向上を目的とした、「貧困削減および女性の社会的地位向上プロジェクト」に1900万米ドルの資金提供を行うことを決定した。
このプロジェクトでは、今後4年間にわたり、西アフリカのブルキナファソ、マリおよびセネガルにおいて、600件の持続可能な農村事業を支援する予定である。これらのプロジェクトの目玉は、多機能プラットホーム(MFP)と呼ばれるもので、ディーゼル・エンジンに、シャーシを接続することにより、様々な加工機材、例えば穀物の製粉機や脱穀機、バッテリー・チャージャー、工具および建具類などを取り付けることができる。また、これらのMFPのうち、少なくとも24のプロジェクトがバイオ燃料によって稼動することになる。
日々の家事がスイッチひとつで実現するような先進国と違い、電気の供給がなく、また電化の計画もないアフリカの農村地域の女性たちにとって、食事の準備は重労働である。 彼女たちは一日平均6時間を薪集めや水汲み、脱穀や粉引きに費やすため、収入を得られる雇用に従事する時間はない。また就学年齢にある女児たちもしばしば家事の手伝いにかり出されるため、定期的に学校に通うことができず、授業についてゆくけなくなり、終いには通学できなくなってしまっている。
多機能プラットホーム(MFP)プロジェクトでは、通常すり鉢とすりこ木、または碾き臼で行われるメイズや雑穀、とうもろこしなどの製粉や脱穀作業などの家事を機械化することによって、女性の家事を利益を生み出す作業へと変えられてゆくことになる。また、MFPは灯火、冷蔵庫用、および水の汲み上げに必要な電気を供給することも可能である。これによりコミュニティは衛生的な水を手に入れることができるようになり、結果的に保健衛生と教育サービスの向上につながるであろう。
国連開発計画(UNDP)のケマル・デルビシュ総裁は、セネガルのダカールで本イニシアチブを発表する中で、電気などの近代エネルギーへアクセスできないために、女性たちが何世代にもわたり低識字率や病気、貧困などの悪循環に閉じ込められている現状を説明し、「農村地域で、このようなシンプルな発電源に投資するだけで、女性は粉引きや水汲みに一日中時間を費やす必要がなくなります。低コストで効果的なエネルギーを利用することで、彼女たちの生産性が向上し、がもたらす更なる時間を収益のあがる活動に従事することができるようになる。また、より質のよい製品を販売して収入を増やすことが可能なるでしょう。」と述べた。この事業支援プロジェクトの一環として、UNDPと現地のNGOネットワークは、女性グループの識字率向上と事業管理のトレーニングに関し、支援する予定である。
「このプロジェクトは、費用対効果に優れた技術を採用することで、西アフリカ地域の女性たちにとって最も貴重な資源である時間を開放し、より付加価値の高い商品を市場でより頻繁に販売することができるようにし、これにより所得を向上させ、生活を改善することになるでしょう。さらに、このMFPプロジェクトが将来的にアフリカのほかのコミュニティにも普及させることが可能かどうか、学ぶことができればと思います」とビル&メリンダ・ゲイツ財団の世界開発プログラム農業部門長のラジブ・シャー博士は述べた。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団の農業開発イニシアチブは、多岐にわたるパートナーたちとともに、世界の最も貧しい地域で働く何百万もの小規模農業従事者に、生産性を高め、収入を増やし、彼らの家族の生活の質を向上させるための機会や機材を提供している。
MFPプロジェクトは、シアの実を採取してバターに加工している西アフリカで成果をあげ始めている。例えばマリでは、今までは10キロのシアの実から8時間かけて3.5キロのシア・バターを手作業で生産していたのに対し、MFPの導入によって4時間半のうちに4.5キロのシア・バターを生産することが可能になった。
セネガルのバタンティンティ村のS.Sakhoさんは、彼女の村にMFPが導入される前は、シア・バターの加工と販売によって得られる月収は55米ドル以上を上回ることはなかったという。「MFPの導入によって、収穫期の終わりには楽に220米ドルは稼げるようになりました。収穫が増えたのは時間があるからです。MFPは人生を改善してくれました。今では収入を子供の教育や衣服に使うことができるので、ひどい格好をすることもなくなりました」と生活の変化を語っている。
この農業開発イニシアチブは、農村およびその周辺地域の人々に農業従事のための機械動力を含むエネルギー・アクセスを提供することを目的としており、ミレニアム開発目標(MDGs)達成のめに2006年1月に策定された西アフリカ経済共同体(ECOWAS)の農村地域のエネルギー・アクセス政策に貢献することが期待されている。MFPからの経験と教訓は、1億人以上が農村地域に居住しているといわれるサブ・サハラ地域において、エネルギー・アクセスの向上の基盤となることが期待されている。
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