2008年05月13日
民間セクターのビジネスを通じた貧困削減イニシアティブ”Business Call to Action”について
国連開発計画と英国政府は、民間セクターに対し、経済成長と貧困削減に向けた、技術の活用をすべく呼びかけ
2008年5月6日、国連開発計画(UNDP)のケマル・デルビシュ総裁と英国のゴードン・ブラウン首相は、民間セクターによる世界の貧困削減を呼びかけるイニシアティブ” Business Call to Action”をロンドンで開催し、80人を越えるグローバル企業のリーダーが、ビジネスを通じて途上国の貧困削減に貢献する斬新で創造的なイニシアティブを発表した。
参加企業のうち12社が、それぞれの専門性、技術と起業家精神を活用して貧困に取り組む具体的な活動を発表した。ビジネス・イニシアチブを公表した住友化学株式会社、Diageo、 コカ・コーラ、マイクロソフト、Vodafone、トムソン・ロイター、SABMiller、CitiとCiscoは、今後5年の間に数千もの雇用を創出し、アジア・アフリカ地域で貧困に苦しむ何百万もの人々の生活を向上させることが期待されている。これらの取り組みは、雇用機会をもたらすとともに、貧しい人々が情報や資金、専門技術へのアクセスを可能にするものであり、2015年のミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けて協調した努力の一貫である。
ゴードン・ブラウン首相は、2007年7月国連において、政府、民間企業、NGOらさまざまな団体に呼びかけニューヨークでCall to Actionを開催し、MDGs達成のために資源や努力を集中させるよう呼びかけた。既に複数の世界的な大企業がCall to Actionに呼応しており、今回のイベントはこのプロセスの新しい一歩と位置づけられている。
Business Call to Actionは慈善活動とは異なり、製造や通信、金融などの企業の基幹ビジネスを通じて、商業的な成功と同時に途上国の持続可能な開発を実現するよう、企業に呼びかけている。そして貧困を削減することが、より安全で反映した世界を作り、将来の商業的成功を確かにすることを明らかにし、貧困削減はビジネスにとっても有益であることを、企業やCEOが認識するよう働きかけた。
「MDGsを達成する上で、民間セクターは、持続可能な開発と経済成長の原動力となれるのにも関わらず、最大の未開発分野にとどまっていましたが、新進気鋭のビジネス・リーダーたちは、先進国、途上国において、ビジネス環境に挑戦し始めています。こうしたリーダーたちは、伝統的なビジネスのあり方にとらわれず、グローバルな市場から取り残された人々のニーズに着目し、彼らを経済成長と富を創出するパートナーとしてともに働いています。このような創造的なアプローチとパートナーシップは、包括的な成長と開発を推進する活発で新しい市場にとって必要不可欠なものです。Business Call to Actionは、一度限りのイベントではなく、MDGs達成に向けた行動を促進するものであり、すべての人々にとって豊かな世界を実現するためのものなのです。」とデルビシュUNDP総裁は述べた。
この精神に則って、潘基文国連事務総長は、本年9月、MDGs達成に向けた活動を強化するために世界の首脳や市民社会、民間セクターが参加するハイレベル会合を開催する予定である。
ダグラス・アレクサンダー英国際開発大臣は、「アフリカをはじめとする開発途上国の国々は利益を上げることのできるビジネス機会に富んでいます。長期的な経済成長は世界的に貧困をなくすためには必要不可欠で、私たちは民間セクターが途上国においてビジネスを展開するよう呼びかけます。人々の命を救い、貧困との戦いに勝つためにビジネスは極めて重要なのです。今回のイベントを機に、途上国で拡大する投資機会およびビジネスが、人々の生活を変える力を持つことを知ってほしいと思います。」コメントしている。
今回、Business Call to Actionで参加を表明した企業の活動はモニタリングされ、企業利益の追求と貧困に苦しむコミュニティに対する貢献が世界的に展開可能かどうか検討される。
*Business Call to Actionにおけるケマル・デルビシュ総裁のスピーチがYouTubeのUNDPチャンネルでご覧いただけます。
お問い合わせは、UNDP東京事務所 西郡 (広報・市民社会担当官:03-5467-4751 toshiya.nishigori@undp.org ) まで。
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