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ニュースルーム −プレスリリース−

2009年11月24日

UNDPと三井物産がモザンビークの太陽光発電を活用した農業支援プロジェクトの推進に合意

[2009年11月24日、東京] 国連開発計画(UNDP)のヘレン・クラーク総裁と三井物産株式会社の飯島彰己社長は本日、都内で会談し、途上国の貧困削減などを定めたミレニアム開発目標(MDGs)の達成のために、企業がビジネスを通じて貢献することを目指す「ビジネス行動要請 (Business Call to Action)」に基づき、  モザンビークで太陽光発電システムを活用した農業支援プロジェクトを推進することを合意した。

モザンビーク政府とUNDPは、主要セクターである農業の生産性向上や教育・エネルギーへのアクセス改善などMDGs達成に必要な支援を包括的に行うミレニアム・ビレッジ・プロジェクトを実施しているが、近年の自然災害で打撃を受けた農業の復興が課題となっている。またエネルギーへのアクセス改善のためには、遠隔地であっても利用可能で、温室効果ガスを排出しない太陽光発電が有効であるが、現地の状況に即したビジネスモデルの構築が課題となっている。現在、両者で協議されている事業案では、三井物産がミレニアム・ビレッジ・プロジェクトに対し、太陽光発電システムと灌漑用水ポンプを提供する。現地政府とUNDPは、コミュニティとともに灌漑設備を整え、太陽光発電を利用し水へのアクセスを改善することで、耕作地を拡大し、農業所得の増加と貧困削減を図る。灌漑の開始後は、主要収入源である農業の生産高を向上させるとともに、小規模事業の支援と連携し、地域全体に経済効果を生み出すことにより、中長期的には、現地の共同体がみずから太陽光発電を導入できる、持続可能なモデルの確立に寄与することが期待されている。
ヘレン・クラークUNDP総裁は、「国際社会共通の目標であるMDGsを達成するためには、民間セクターが持つ技術や創造性を活用することが不可欠です。今回、三井物産がアフリカで取り組みを行うことは、潜在能力が高いにも関わらず認知されていない市場へ投資と民間セクターを呼び込むことに貢献するものです」と述べた。

今回、両社の協議のもととなった「Business Call to Action (BCTA)」は、「それぞれの企業が有する専門性、技術と起業家精神を活かして、貧困削減をはじめとするMDGsの達成へ貢献する」ことを目的にUNDPが英国政府とともに開始したイニシアティブである。昨年5月にロンドンで開催されたBCTA発足式には、世界有数の多国籍企業80社以上の首脳がみずから参加し、そのうち三井物産を含む60社がビジネスを通じてMDGs達成を目指すBCTA宣言に署名した。これから署名企業は、途上国でさまざまなビジネスを展開することにより、貧困層の生活改善に寄与することが期待されている。一方、UNDPは、ほかの開発機関やドナー、政府とともに、ビジネス環境の整備のため現地政府関係者との協議の場を設定や、途上国での開発に関する企業への助言などの支援を行うことになっている。

飯島彰己社長は、「アフリカのMDGs達成のためには、エネルギーへのアクセスが不可欠であり、太陽光を含む再生可能エネルギーの活用に世界的な期待が高まっています。今回の試みは、UNDPとのパートナーシップのもと、太陽光発電システムを通じて、ミレニアム・ビレッジの所得向上が実現し、その経済的効果を明らかにすることが目的です。将来、途上国のさまざまな地域で太陽光を利用した灌漑の好事例として、太陽光発電システムが活用され、持続可能な開発に寄与することを期待します。」と述べた。

昨年5月に横浜で開催された第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)では、日本からアフリカへ民間投資を増加させ、成長を加速することが期待された。UNDPは昨年、日本政府から45万ドルの資金支援を受けて「日本・UNDP持続可能なビジネス育成プログラム(Japan-UNDP Growing Sustainable Business Programme)」を開始し、日本企業を対象に、アフリカおよびアジア地域における貧困削減に寄与するビジネスを支援することになっており、今回の案件も支援対象となる予定である。目下の経済危機により、途上国への投資減少が懸念される一方で、こうした地域では人口増加が続き、比較的高い成長が見込める市場として注目されており、民間セクターには中長期的な視点に立った、ビジネスの展開が期待されている。

途上国における貧困層を対象としたビジネスは、貧困削減や公衆衛生の改善、環境保全という開発効果をもたらすだけでなく、事業自体の成長も促すものである。民間セクターには、創造力を発揮して、前向きな取り組みが求められている。

モザンビークのミレニアム・ビレッジ・プロジェクトには、今春日本政府も5億8500万円の資金援助を決定しており、官民のリソースを活用した開発ケースが期待されている。現在両者で進めている調査が完了し、現地関係者との合意に達した場合は、来年前半にもモザンビーク政府、UNDPと三井物産の間で契約が締結され、プロジェクトが開始される予定である。

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本件に関するお問い合わせ:
国連開発計画(UNDP)東京事務所 
広報・市民社会担当官 西郡俊哉
03-5467-4751


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