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2010年06月18日

国連開発計画が貧困を削減し、持続可能な開発を達成するための8つの重点項目を推進するレポートを発表―50ヵ国で得られた証拠をもとにミレニアム開発目標の達成は可能と報告

国連開発計画(UNDP)は本日、持続可能な開発を推進し、世界の貧困を削減するために不可欠な取り組みを包括的に評価した報告書『What Will It Take To Achieve The Millennium Development Goals? An International Assessment(MDGs評価報告書)』を発表した。本報告書は、今年9月にニューヨークで開催されるミレニアム開発目標(MDG)サミットに対し具体的な行動指針を明示している。

ヘレン・クラークUNDP総裁は、本報告書の記者発表において「貧しい暮らしを送る多くの人々にとって、MDGsは抽象的な目標でも願望でもありません。MDGsはよりよい生活を送り、より公正で平和な世界を実現するための手段なのです。MDGs達成のために各国で実施され、試された政策から得られた数々のエビデンス(証拠)と、成功のペースを加速させる指針が、MDGsに関する世界首脳会議における成果文書に寄与することを期待しています」と述べた。

MDGsは国際的に認められた8つの目標からなり、2015年までに、貧困や飢餓、妊産婦や子どもの死亡数、感染症などの疾病、不適切な住居、ジェンダーの不平等および環境の悪化を減少することを目指している。

『MDGs評価報告書』は、UNDPが50ヵ国から得たエビデンスをもとに、2015年までの5年間に開発成果を加速する8つの行動指針、すなわち1)被援助国のオーナーシップに基づいた参加型開発への支援、2)民間セクターを含め、雇用を創出し貧困削減に寄与する包括的な成長、3)政府による保健や教育などの社会サービスに対する投資、4)女性や女の子のための機会の拡大、5)低炭素エネルギーへのアクセス、6)国内の資源動員、7)各国の政府開発援助(ODA)に関する国際公約の履行などを提示している。

また報告書では、初等教育の学費の無料化により就学率が急増したエチオピアの事例から、5歳以下の子どもの死亡率を低下させたアフガニスタンの革新的な保健サービスの提供事例まで、MDGsの進捗状況を改善するために、もっとも貧しい国においても実際に効果があり、かつ手本となるような、事例を紹介している。

そして、保健と教育分野における急速な改善が実現した国では、十分な公共投資と有力で新しいパートナーシップが存在していることを『MDGs評価レポート』は明らかにしている。

さらに『MDGs評価報告書』は、経済成長が十分な雇用を提供し、かつ農作物の生産高を増加する場合に貧困と飢餓の削減は実現できると示唆している。たとえばガーナでは、全国的な農薬の助成プログラムが2003年から2005年の食糧供給高を40%増加させ、飢餓を9%減少させている。

『MDGs評価報告書』ではさらに、下記のような事例も取り上げている。

インドでは、土地をもたない労働者や農民(約半数は女性)に対して、最低100日間の雇用を保障する国家農村部雇用イニシアティブを実施した結果、約4600万世帯に恩恵をもたらすことができた。こうした強固な社会保障と雇用プログラムは、貧困を削減し、不平等を是正するこことができると本報告書は強調している。

アルバニアは、すなわち行政機構、立法および政策が、説明責任を奨励し、開発の成果を向上させるように改革することを目指す9番目のMDGゴールを採択したことに対し評価を得ている。国が主導する開発と効率的な政府は、MDGs達成の基盤であると本報告書は主張している。

さらに『MDGs評価報告書』は、MDGsの各目標間の相関性についても言及している。たとえば、女性や女の子に対する機会を改善することや、エネルギーへのアクセスを拡大することは、MDGsを進捗させる上で乗数的な効果を発揮する。ブルキナ・ファソやガーナ、マリ、セネガルでは、発電機の供給によって女性は1日の労働時間を平均して2時間から4時間短縮することができ、空いた時間を教育に使った結果、健康の改善や収入源を創出することができたと報告している。

本報告書はまた、ポイントを絞った予測可能な援助は、MDGsを達成するための触媒となり、ブルキナ・ファソ、モザンビーク、ルワンダ、ウガンダおよびベトナムにおいて、公共サービスの配布の資源を増やし、重大な成果をもたらしたことを明らかにした。その一方で、エビデンスからは、自国内の資金調達を拡大し、投資に対して最大限の効果を得られるように予算を調節する必要があると指摘している。

『MDGs評価報告書』は、9月のMDGサミットに向けて成果文書を準備している参加国と共有される。また本報告書は、世界貿易機構(WTO)のドーハ開発ラウンドにおける貿易交渉の失敗を取り上げ、開発のためのグローバル・パートナーシップを形成する上でもっとも重大なギャップが存在していると指摘している。さらに、開発途上国にとって市場へのアクセスはほとんど改善が見られず、豊かな国々による国内の農業保護のための助成金がMDGsの進捗を加速するために不可欠な政策の一貫性に影を落としていることを指摘している。

『MDGs評価報告書』と並行して、UNDPは現在MDGs推進ツールキットを試作している。これは各国の政府、国連機関、およびほかの開発パートナーが、MDGsを推進する上で障害を特定し、かつその障害を解決しながら、MDGs達成のために最大限の効果をもたらすことができる政策を特定しやすくするために設計されたフレームワークからなっている。

「MDGs評価レポート」は'http://www.undp.org にて公開中(英語)

ミレニアム開発目標(MDGs)について詳しくは'http://www.undp.or.jp/aboutundp/mdg/ に記載されている(日本語)


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