2010年09月10日
UNDPと三井物産がモザンビークで太陽光発電を利用した灌漑システムを建設し、農業振興を通じた所得向上・貧困削減の取り組みを開始
[2010年9月9日モザンビーク] 国連開発計画(UNDP)と三井物産株式会社は、モザンビーク南部のガザ州チブト村で実施しているミレニアム・ビレッジ・プロジェクトにおいて、太陽光発電を利用した灌漑用水ポンプ設備を建設するパートナーシップ事業の協定書に調印した。今回の事業では、三井物産が200万ドルを拠出して太陽光発電システムをミレニアム・ビレッジに導入し、灌漑用水を大幅に改善することで、同国の農村コミュニティで持続的に農業生産性の改善や所得の向上を図る。
世界でも最貧国のひとつであるモザンビークは、国民の半分以上が貧困ライン以下で暮らしている。UNDPは様々なイニシアティブを推進し、モザンビークの人々のより良い生活を支援している。その中でミレニアム・ビレッジ・プロジェクトは、コミュニティの能力と潜在能力も活用し、新しい技術を駆使しながら、ボトム・アップ(底辺底上げ)事業を実施し、貧困削減を進めることで、途上国のミレニアム開発目標(MDGs)達成を支援している。現在モザンビークには、UNDP、日本政府、ポルトガル政府が出資をして5つのミレニアム・ビレッジが運営されている。
チブト村は、モザンビークの首都・マプト から200キロメートル北に位置し、リンポポ川に隣接している。コミュニティ住民の多くは自給自足の農民だが、不安定な水供給と少ない農薬のために、生産量が限られている。UNDPと三井物産のパートナーシップ事業が順調に進めば、太陽光発電による電力を利用し川の水を汲みあげられるため、このコミュニティだけで年間通じて53ヘクタールの土地を灌漑できる。さらに、チブト村だけで1万3000人が農業生産量の増加とそれに伴う所得向上による恩恵を受けられると見込まれている。この事業で得られた知見は今後、再生可能なエネルギー技術を利用したコミュニティ開発にも大きく貢献することが期待されている。
今回合意されたパートナーシップ事業は、モザンビークの科学技術省の責任下で実施され、UNDPは灌漑用ポンプ設備の建設からシステム整備、ビジネス能力向上、市場アクセス改善、さらに農業技術の普及などを支援する。また本事業には、日本政府が資金を拠出した「持続可能なビジネス育成イニシアティブ(GSB)」から専門家が参加する予定である。政府、UNDPおよび三井物産による官民連携によって、より持続可能な開発効果が得られることが期待されている。
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