2011年06月28日
日本とUNDPが地域の生物多様性保護と気候変動に対して抵抗力のあるコミュニティ開発のために連携
アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海地域、東ヨーロッパの11か国のコミュニティでは、生物多様性に優しい自然資源管理と農業システムを実現するため小規模無償支援を受けるプログラムが始まります。
このプログラムには、ブラジル、カンボジア、エチオピア、ガーナ、グレナダ、フィジー、インド、マラウイ、ネパール、スロバキア、トルコの地域コミュニティが参加し、昔ながらの持続可能な農環境保護の手法を再現または応用しつつ新しい手法を習得すると共に、伝統的な農業システム、生物多様性や自然資源の保護についての知識交換をすることになっています。
SATOYAMAイニシアティブ は、2010年10月に名古屋で開催された生物多様性条約(CBD)第10回締約国会議(COP10)で採択されました。里山という名称は、日本の地域コミュニティが何世紀にも渡る持続可能な資源管理を通じてつくりあげてきた、伝統的な風景(ランドスケープ)にちなんで名づけられたものです。混合林、水田、草地、小川、池などがモザイク状に混在し人と自然が共存している場所が里山と呼ばれています。生息地の形態がいろいろであることで多くの種が守られ、また農業システムそのものが、人々の収入と食料供給の保障を維持する傍ら、農作物種の多様性、豊かな水、肥沃な土壌を保全することに役立っています。
このほど日本政府とUNDPはこのパートナーシップ・プログラムを発表し、上記の諸国において、SATOYAMAイニシアティブのビジョン(目標)を推進していくことで同意しました。
UNDPのヘレンクラーク総裁は「UNDPは世界176か国・地域で活動をしていますが、地域コミュニティが環境破壊をしない独自の農法や、食料や生計の糧を得る資源利用方法をしばしば発展させてきたことがわかっています。日本自身が壊滅的な津波被害からの復興過程にあるなか、貧困、生物多様性、気候変動など互いに関連する課題に対して、支援を続けてくださっていることに大変感謝しています」と話しています。
本パートナーシップ・プログラムは今後5年間の予定で実施される。初年度は、CBD事務局内に設置された生物多様性日本基金 から200万ドルが拠出され、コミュニティにおけるベスト・プラクティスの実施と成果についての知識の共有を行います。
松本龍環境大臣*は,「環境の持続可能性を世界各地で確保するため、資源管理と農法に関する地域の知見は重要であると日本は認識しています。この協力活動はSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップの旗艦的なプログラムです」と語りました。
コミュニティにおける活動支援には、地球環境ファシリティ・小規模無償プログラムをはじめとしたUNDPが実施する小規模グラント・スキームを活用します。CBD事務局はUNDPと協働し、本事業の成果を分析し、そこから得られた知見を生物多様性条約の下で行われている国際的な政策議論に役立たせていきます。また、UNDPは本事業からの教訓を世界中のほかのコミュニティにおける応用、規模拡大にむけて国連大学と協力していきます。
SATOYAMAイニシアティブについての連携以前からも、日本とUNDPは環境分野で数多くの協力事業を展開してきました。たとえば「アフリカ気候変動適応支援プログラム」は、アフリカ20か国で気候変動への適応、温室効果ガス排出が少なく、気候変動に対して抵抗力のある開発を支援し、現在も進行中です。
UNDPは、来年に開催予定の国連持続可能な開発会議(リオ+20)(ブラジル、6月)や生物多様性条約第11回締約国会議(COP11、インド)を含む主要な国際会議で、引き続き生物多様性の損失、気候変動、貧困問題と取り組むための持続可能な戦略を提唱していきます。
SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ事務局のウエブサイトはこちらからご覧いただけます。
環境省によるSATOYAMAイニシアティブ推進プログラムの報道発表資料はこちらからご覧いただけます。
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本件に関するお問い合わせ先
国連開発計画(UNDP)東京事務所・広報ユニット(電話:03-5467-4751)
*本プレスリリースは、6月27日付UNDP本部のプレスリリース(英文)の和訳となっております。6月27日夜に発表された新たな閣僚人事で、環境大臣は江田五月氏に交代しております。
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