2012年05月07日
小島嶼開発途上国におけるエネルギー自立と持続可能な開発に関する会合が本日バルバドスで開幕
【2012年5月7日、ブリッジタウン、バルバドス】
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は本日、バルバドス政府と国連開発計画(UNDP)が開催したハイレベル会合「小島嶼開発途上国における『すべての人のための持続可能エネルギー』の達成」に参加した各国の首相、閣僚、国際的専門家、市民社会のリーダー、企業経営者に向けて次のようなメッセージを送りました。
「小島嶼開発途上国(SIDS)は輸入化石燃料への依存から脱却し、エネルギー部門を近代的で効率性が高く、かつクリーンで再生可能エネルギー源に変革していく必要があります。持続可能な開発は、持続可能なエネルギー無しには実現できません。世界のエネルギー需要は高まり続け、世界の温度は上昇し続けています。私は、2030年までに達成する3つの目標、エネルギーのユニバーサル・アクセスの確保、グローバルな相場でのエネルギー効率の倍増、世界のエネルギーミックスに占める再生可能エネルギーのシェア倍増を掲げています」。
小島嶼開発途上国は、交通や電力のエネルギー源を輸入石油や化石燃料に大きく依存しています。これが経済不安の大きな要因となっています。
バルバドスのフローンデル・スチュワート首相は本日の開会式で参加者を前に「多くの小島嶼開発途上国は、従来型のエネルギーは不足していますが、再生可能エネルギーとエネルギー効率性の面では無限の可能性を秘めています。根本的な問題は、小島嶼固有の構造的問題を抱え、資源も限られる小島嶼開発途上国が、再生可能エネルギーの可能性をどのようにして、安価で、入手可能で、適応性のある現実的なものにしていくかということです」と語りました。
小島嶼国の中には、水力、太陽光、地熱、その他の再生可能エネルギーに転換することで、これまで原油輸入や精製石油製品に使われていたGDPの最大30%の支出を減らせます。ここで浮いたお金は、クリーン・エネルギー部門などでの雇用創出、医療や教育の改善、化石燃料の段階的廃止で生活に影響が及ぶ人々のためのセーフティーネット強化、気候変動への適応、その他のプログラムなどに使うことができます。
小島嶼開発途上国に分類されるトンガでは、2012年に炭素を排出しない電力生産を計画しています。また、近隣のトケラウ諸島でも今年、類似した計画が持ち上がっています。
バルバドス会合の主目的は、優良事例を共有し、参加国がエネルギーの自立と持続可能な開発に向けて必要なノウハウ、技術、資金調達の方法を見つけだすのを支援することです。
スチユワート首相とUNDP開発政策局環境エネルギー部のVeerle Vandeweerd 部長は本日、会合の開会にあたり、エネルギー部門の転換、二酸化炭素排出量の削減、持続可能な開発への取り組みにおける、小島嶼開発途上国のリーダーシップを評価しました。120以上の国家元首が集う国連持続可能な開発会議(リオ+20)までわずか数週間前に開かれたこの会合は、小島嶼開発途上国の重要な貢献となります。
国連事務総長は本日のメッセージの中で「リオ+20まで50日を切りました。大きな成果を上げるために、最大限の努力をする必要があります。また、私たちは明確な結果―海洋協定、『すべての人のための持続可能エネルギー・イニシアティブ』への支援、ミレニアム開発目標(MDGs)に基づいた『持続可能な開発目標(SDGs)』の策定作業を始めるなど―に重点を置かなければなりません。小島嶼国の声が確実に届くような活動を期待しています」と話しました。
UNDPのVandeweerd部長は「小島嶼開発途上国で持続可能な開発を達成するためには、すべての家庭へ近代的で安価な再生可能エネルギー・サービス提供する一方、貧困削減、環境保護、持続可能な開発と経済発展のための新たな機会を提供することも必要です」と話しました。
「小島嶼開発途上国における全ての人のための持続可能エネルギーの達成」の成果は、参加者がクリーン・エネルギーへの転換、持続可能な開発、貧困削減に向けて共同提案した目標と優先事項をとりまとめた「バルバドス宣言」に集約される予定です。
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