国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所のウェブサイトは2013年9月に移転しました。

新ウェブサイトはこちらからご覧いただけます。


日本政府拠出によるUNDP案件紹介 タジキスタン「タジク-アフガニスタン貧困削減イニシアティブ(TAPRI)」

2012年8月9日

地方行政職員のトレーニング(c)UNDP Tajikistan

地方行政職員のトレーニング(c)UNDP Tajikistan


両国間の関係者によるビジネス協力フォーラム(c)UNDP Tajikistan

両国間の関係者によるビジネス協力フォーラム(c)UNDP Tajikistan


プロジェクトにより整備されたQaradum村の小学校(c)UNDP Tajikistan

プロジェクトにより整備されたQaradum村の小学校(c)UNDP Tajikistan


背景
タジク-アフガニスタン貧困削減イニシアティブ(TAPRI)は、日本政府より総額500万ドルの支援を受け、2012年3月まで1年間にわたり実施されました。同プロジェクトでは、タジキスタンとアフガニスタンの国境地帯に位置するKhatlon地域(タジキスタン)とTakhar・Kunduz地域(アフガニスタン北部)において、(1)両国国境地帯における連携強化、(2)持続可能な経済社会開発の促進、そして(3)両国民の生活改善、等を通じた貧困削減を目指して行われました。

成功要因
TAPRIは、1年という比較的短い実施期間にもかかわらず、大きな成功を収めることができました。成功要因としては、(1)これまでの活動による実績のうえに同プロジェクトを形成したこと、(2)実績のある国連機関や国際NGOおよび地域コミュニティをパートナーとし、住民参加型のアプローチを採用したこと、(3)人間の安全保障の強化に取組む既存プロジェクトを補完したこと、等が挙げられます。プロジェクトは、対象地域であるタジキスタン・アフガニスタン国境地域の安定と持続可能な開発に向けた、より包括的なアプローチを実現させました。

主要な成果
TAPRIプロジェクトの活動は、(1)地方経済開発支援、(2)地方のガバナンス向上、そして(3)両国国境地帯における連携促進、という相互に関連する3分野にまたがり、プロジェクトの目標である貧困削減の達成に貢献しました。裨益者は地域住民21万9949人にのぼり、その内訳はタジク側住民が14万5777人、アフガニスタン側住民が7万4172人となっています。また、間接的な裨益者の数は160万人以上に達します。プロジェクトはこれまでに以下のような目覚ましい成果をあげています。

・タジキスタン側の1605人(うち女性は775人)が小規模融資サービスを通じた融資制度を利用した。(当初目標値:500人)
・国境のNijiniy Panji橋を通じたアフガニスタンとの貿易額は2011年には3900万ドルと、2009年度比17%(690万ドル)増を達成した。(当初目標値:10%増)
・10地区の住民が、安全な水や灌漑設備、代替エネルギー源を利用できるようになった。(当初目標値:5地区)
・両国の地方行政職員275人が、地域開発計画の立案および資金調達、公共サービス改善に関するトレーニングを受けた。(当初目標値:100人)
・両国で、6件の地域開発計画と15件の農村開発計画が立案された。(当初目標値:地域開発計画3件)
・両国間で5件の交流・研修旅行、両国間連携に関するラウンドテーブルが企画され、221人(うち女性は25人)が参加した。(当初目標値:研修旅行3件)
・両国で32件の災害管理イニシアティブを支援した。活動はすべてアフガニスタン国境付近の地区で実施された。(当初目標値:活動2件)


今後に向けて
このようにTAPRIはさまざまな成果をあげましたが、これらは既存の取組みのうえにプロジェクトの諸活動を効果的に組み合わせたことによりもたらされました。今後は、特に以下の分野において、プロジェクトの成果を足がかりに、さらに国境地帯の社会経済開発を進める必要があります。

・ガバナンス:
TAPRIを通じ、各地域の行政担当者は、地方開発計画をはじめとする開発プロセスの管理向上のためのツールやスキルを身につけることができました。次のステップとして、地方開発計画の着実な実施、モニタリング・評価が求められます。
・経済開発:
日本政府の支援によりタジキスタンのRumiから国境のNijiniy Panjiに至る25キロメートルの道路が再整備されたことで、TAPRI対象地域内の自由経済区域への通行が容易になりました。またTAPRIは、自由経済地区に隣接するQaradum村で学校、診療所、灌漑設備といった社会経済インフラ整備をすすめ、ミレニアム開発目標(MDGs)の目標1(極度の貧困と飢餓の撲滅)、3(ジェンダー平等の推進と女性の地位向上)および4(乳幼児死亡率の削減)の達成に向けた進捗に貢献しました。同村へのこのような支援により、今後は国境と自由経済区域に隣接する同村が、地域全体の開発の中心地として機能することが必要とされます。
・国境地帯における連携強化:
TAPRIを通じ、両国国境地帯の関係者が一堂に会し、共通課題と解決策について協議しました。今後はこの対話を出発点として、より長期的な開発パートナーシップの形成が期待されます。このようなパートナーシップは、国境地帯の平和と安定の促進にも貢献することでしょう。

パートナー
TAPRIはUNDPが主導し、国連機関では世界食糧機関(WFP)が、国際NGOではACTED、Cesvi、Children’s Legal Centre、クリスチャン・エイド、ミッション・イースト等の諸団体がコミュニティ・レベルの活動に参画しています。