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国連開発グループ(UNDG)によるコンサルテーション・プロセス

2012年9月12日

JICA研究所で開催された「成長と雇用」に関する専門家会合の様子。(C)UNDP

JICA研究所で開催された「成長と雇用」に関する専門家会合の様子。(C)UNDP


「国連開発グループ(UNDG)*によるコンサルテーション・プロセス」は、政府、アカデミア、NGO、民間企業、産業団体や労働団体を含む幅広いステークホルダーに、ポスト2015開発アジェンダに関する有効な議論と意見集約の機会を提供するための取組みです。日本政府は、UNDG議長を務めるUNDPを中心に実施される同取組みを支援するために、日本UNDPパートナーシップ基金を通じ約60万米ドルを拠出しています。以下に、コンサル―テーション・プロセスで実施されている3つの主要な活動について紹介します。

国別コンサルテーション
ポスト2015開発アジェンダは、国際社会のみならず各国においても活発な議論が期待されますが、この議論に有効な枠組みを提供するのが、国別コンサルテーションです。各国の国連常駐調整官および国連カントリー・チーム(UNCT)が実施を担う国別コンサルテーションは、各国での議論の主体となる政府や市民社会に対しグローバルな視点を共有しつつ、貧困層や弱者の声を議論に取り入れる役割を果たします。

また、同コンサルテーションにおける対話により集約された多様な社会の願いが国際社会で認知され、ポスト2015開発アジェンダに反映されるよう、政府間協議のプロセスに働きかけを行います。コンサルテーションのガイドラインや技術的支援はUNDGから提供されますが、形式や内容は各国の状況に即して決められます。

実施にあたっては、主体となるUNCTが国別開発計画の策定プロセスへの支援等を通じて培った国内ステークホルダーとの対話の経験や信頼関係が役立ちます。現在のところ、先進国を除く約50か国で、今後2013年第1四半期にかけて順次開催が予定されています。

テーマ別コンサルテーション
テーマ別コンサルテーションは、グローバル・コンサルテーションとも呼ばれ、ポスト2015開発アジェンダが対処すべき諸課題のなかでもUNDGが選定した9つの分野(格差、保健、教育、成長と雇用、環境と持続可能性、食糧安全保障、ガバナンス、紛争と脆弱性、人口動態)につき、専門家、アカデミア、市民社会、メディアを含む主要なグローバル・パートナーに、議論の場を提供する活動です。

各コンサルテーションを通じて分野ごとの専門的な議論を深めるほか、ポスト2015開発アジェンダの策定・合意に向けた主要な政策決定者間の関係構築が期待されます。各コンサルテーションは、UNDGに参加する国連機関のなかでも特にテーマに関連する機関が合同で運営します。5月15、16日には、第1回目のコンサルテーションとして、UNDPと国際労働機関(ILO)が担当する「成長と雇用」に関する専門家会合が、日本政府(外務省)および国際協力機構(JICA)の協力のもと、東京のJICA研究所において開催されました。会合では、世界各地から参加した約70名の専門家が活発な議論を行い、会場とアジア4か国(バングラデシュ・中国・インド・インドネシア)をつないでのテレビ会議も行われました

ウェブ・ポータルを通じた幅広いステークホルダーの議論への参加
さらに、様々なコンサルテーションで得られた議論の成果を活用した、グローバルな双方向型のキャンペーンも計画されています。これは、ウェブ上のポータルサイトやソーシャル・メディアを活用するもので、近々開始が予定されています。国連ミレニアムキャンペーン、グローバル・コンパクト、国連広報局が主体となり、市民社会や企業と連携して実施します。このような取組みにより、ポスト2015開発アジェンダに関する議論に対し、さらに多くのステークホルダーの参画が可能となります。このバーチャルな意見交換の設置は、従来の閉鎖的なコンサルテーション・プロセスでは自分に関わる重要な議論の場に立ち会うことのできなかった何億もの人々に、議論の参加への扉を開く画期的な試みと言えます。

以上のような活動による成果は、2013年春を目途にUNDGにより報告書としてまとめられる予定です。報告書の内容は、政府間協議や国連によるアジェンダ策定プロセスへの主要なインプットとして、ポスト2015開発アジェンダの形成に重要な役割を果たすことが期待されます。

*国連諸機関の開発事業活動に関する調整・連携を行うグループであり、各国連機関のトップで構成される。アナン事務総長(当時)主導による国連改革の一環として1997年に設置された。