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アフリカとともに確かな繁栄を築く:第5回アフリカ開発会議(TICAD V)に向けて2013年1月18日 ケニアの干ばつ被害地域における生活の回復安定プロジェクトの様子(2012年、ケニア) 地元の子どもたちを対象に、地雷リスク教育(MRE)を行う様子(モザンビーク) 地雷除去に関するプロジェクトにおいて、瀬川進モザンビーク日本国特命全権大使とNdolamb Ngokwey国連常駐調整官・UNDP常駐代表による調印式(2010年、モザンビーク) これまでに開催されたTICADの宣言や行動計画を見れば、経済成長を通じた貧困削減、人づくり、ミレニアム開発目標(MDGs)、人間の安全保障、平和構築、気候変動への対応等々、TICADがその時々の開発課題を「先取り」し、フォローしてきたことが分かります。近年は、これらの議論を具体的な行動と成果につなげるために、TICAD行動計画も拡充され、毎年アフリカで開催されている閣僚レベルでのフォローアップ会合などの場で、アフリカ開発の現状と課題やTICADプロセスを通じた協力促進について活発な議論が行われています。 TICADは発足以来「アフリカのオーナーシップ(主体性)」と「国際的なパートナーシップ(連帯)」を基本理念に掲げてきました。これらの取り組みが高く評価されていることは、今回のTICAD Vから日本政府、国連開発計画(UNDP)、国連アフリカ担当特別顧問室、世界銀行に加えて、アフリカ連合が共催機関となることにも表れています。 ご存知かもしれませんが、アフリカ経済はこの10年、アジアに次ぐ高成長を持続し、近い将来もアフリカ経済の多くが高成長を続けると予測されています。興味深いことに、アフリカの「高成長」国には、天然資源が豊かな国だけでなく、低所得国も含まれています。ガバナンスの改善、人づくり、制度作り、経済・財政運営の改善などの地道な努力が実を結んできている表れとも言えます。また、アフリカは人口の4割以上が15歳以下という「若い」大陸でもあります。アジアに比べてGDPなどは低水準からの「高成長」でありますが、将来働き手になる若者人口が多いということは、将来的な可能性が非常に大きいということでもあります。 もちろんすべてが順調というわけではありません。残念なことに、アフリカが2015年までにMDGsの8つのゴールすべてを達成することは困難な見通しです。いまはまず、2015年に向けてMDGs等を通じた基本的な人間開発への取り組みを一層加速しなければなりません。また、安定した経済発展の実現のために、平和の確立、政治や司法制度の安定、ハードおよびソフトのインフラ整備、人づくりなど平行して取り組むべき課題も多くあります。さらに、アフリカの多くの国で近年、天然資源が発見されていますが、新たな収入が紛争の種になるのでなく、国の均衡の取れた発展を助けるように管理していかねばなりません。人口の大半を占める若者や女性が活躍できる範囲をどう拡げるかも検討すべき重要な案件です。 さらに、貧困、脆弱な国ほど、気候変動、世界経済情勢、地域的な紛争など自分では防げない事象の影響を大きく受けます。アフリカの各地で近年起きている食糧危機もその一例と言えます。厳しい状況からの脱却を目指してがんばっている諸国や人々の努力が報われ、一部の人だけでなく、すべての人の生活が向上するような体制作りが必要です。 20年前に比べて、世界におけるアフリカの存在感は、政治だけでなく経済でも着実に増してきています。私がUNDP常駐副代表を務めたガーナでも、勤務していた2007年からの4年間に、欧米系の企業に加え、アフリカのニーズや実情に合わせた製品を積極的に売り込むアジア諸国、メイド・イン・アフリカの製品開発を目指すアフリカ勢、ブラジル、南アフリカ、トルコなどいわゆる「新興諸国」等に並んで、将来の消費市場としてアフリカに関心を深める日本企業が増えました。いまや国際社会とアフリカは、援助・被援助の関係を超えて、お互いが将来の確かな繁栄を築くためのパートナーとなりつつあります。 このような中開催されるTICAD Vへの期待は非常に大きなものです。UNDPと日本政府の開発アプローチは「人間開発」や「人づくり」など共通点が多く、日本政府と多くの分野で緊密に連携していますが、TICAD 共催機関としても共にTICADプロセスの発展に尽力しています。UNDPは、TICAD Vが成功しアフリカと国際社会が手を携えて新たな地平線を拓けるよう、日本政府をはじめ様々なパートナーとの連携を一層強化しています。(文責:UNDPアフリカ局TICADプログラムアドバイザー 小松原茂樹) TICADの関連ページ ・TICAD V 公式ウェブサイト ・TICAD V 公式ウェブサイト(英語) ・UNDP TICAD紹介ページ ・外務省 TICAD紹介ページ ・アフリカひろば ・横浜市 TICAD紹介ページ |