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公開シンポジウム「南スーダンにおける平和の定着と持続的発展」開催報告2013年2月20日 写真や動画や統計データなどをふんだんに使いながら、南スーダンの現状をプレゼンテーションをするランザー氏 プレゼンテーションの模様。市民社会、アカデミア、政府、国連、それぞれの立場から討議しました。 シンポジウムには、市民社会、政府、大使館、国連、アカデミア関係者など約100人が参加しました。NHKの取材も入りました。 場 所:東京大学駒場キャンパス18号館ホール 共 催:国連開発計画(UNDP)、外務省、ジャパン・プラットフォーム、東京大学「人間の安全保障」プログラム 開催要旨: 本シンポジウムは、トビー・ランザー国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)国連事務総長特別副代表・国連常駐調整官兼人道調整官・国連開発計画(UNDP)常駐代表の来日を機に、2011年7月に独立を果たした世界で一番新しい国である南スーダン共和国の現状を紹介し、日本政府をはじめとする国際社会によるこれまでの取り組みを振り返ることを目的に開催されました。 シンポジウムには、NGOや政府機関関係者の他、研究者、大使を含む在京大使館員、学生を中心に約100人が参加し、ランザー国連事務総長特別副代表の基調講演および各界の識者によるパネルディスカッションに耳を傾け、南スーダンの平和の定着と持続的発展にむけた国際社会との連携について活発に意見交換が行われました。 概要: 本シンポジウムでは、遠藤貢 東京大学教授・アフリカ地域研究センター長の総合司会の下、弓削昭子UNDP駐日代表・総裁特別顧問による開会挨拶につづき、ランザー国連事務総長特別副代表が基調講演を行い、南スーダンの現況と課題および国連による取組みを、写真やインタビュー映像を交えてわかりやすく紹介しました。ランザー国連事務総長特別副代表はまず、初等教育修了率の低さや不安定な食糧供給、石油生産停止による緊縮財政等、分離独立後の南スーダンが直面する開発課題を挙げました。他方で、ともすればこれらの短期的な不安定要因ばかりが注目されがちだが、治安状況やインフラの整備状況には着実に進展がみられることを指摘しました。 特に、開発の前提条件となる治安向上に取り組むことの重要性に触れ、約8000人規模で展開する国連平和維持活動(PKO)に参加する約300人の日本の自衛隊の活動の一部を、隊員のインタビュー映像を通じて紹介しました。さらに、UNDPのプロジェクトで活躍する日本人国連ボランティアからのメッセージ紹介や日本のNGOが全国で活動展開していることにも触れつつ、南スーダンの平和の定着に日本が様々なかたちで貢献している様子を伝えました。 今後の課題としては、民間セクター育成、教育への投資、農業生産性向上による食糧安全保障の確保等を挙げ、国連として引き続きこれらの課題に取り組んでいく意向を示しました。最後にランザー国連事務総長特別副代表は、自身が前職で勤務した東ティモールにおけるPKOが2012年末で活動を終了したことに触れ、同国と同様、経済が好調な近隣諸国に囲まれた南スーダンも近い将来に平和と安定をより確固たるものとし、PKOが任務を終了できる日が訪れることに高い期待を表明し、基調講演を締めくくりました。 続くパネルディスカッションでは、嘉治美佐子 東京大学教授がモデレーターを務める中、南スーダンにおける日本政府と市民社会による活動紹介と質疑応答が行われました。まず、赤松武 在ジュバ日本国政府連絡事務所長より、日本による南スーダン支援についてプレゼンテーションが行われました。赤松所長はまず、日本の南スーダン支援の特徴として、従来の政府開発援助(ODA)とNGOの連携にPKO参加を通じた陸上自衛隊の貢献が加わった3者体制で進められていることを紹介しました。さらに、日本による対南スーダン支援の概要を、南スーダン開発計画(SSDP)に沿って立案された日本の国別援助方針に基づき、1)基礎的インフラ開発、2)石油に替わる産業の開発、3)基礎生活分野の改善・所得創出、4)ガバナンス・治安向上の順に紹介しました。このなかで、日本は2012-2013年の約束状況だけでも、米国に次ぐ第2位の支援額を維持し、特にインフラ開発を重点的に支援していることが紹介されました。また、PKOに参加する陸上自衛隊施設部隊とODAの連携事業として、ジュバのナバリ地区における道路整備事業を紹介しました。 続いて、ジャパン・プラットフォームの柴田裕子 海外事業部長は、NGO・経済界・政府が参画するジャパン・プラットフォームの組織の特色と南スーダン支援の沿革および事業概要に続き、同国における日本のNGOの活動と成果を紹介しました。南スーダンにおけるジャパン・プラットフォームを通じた活動は、2006年より開始され、これまで9団体が南スーダン4州(アッパーナイル、ジョングレイ、中央エクアトリア、東エクアトリア)で水・衛生、教育、保健、生計支援等のプロジェクト実施を通じて、南スーダン人の帰還の促進に貢献したと報告しました。さらに柴田部長は、同国での活動にあたり日本のNGOが直面している課題として、治安状況や劣悪なインフラ・輸送環境を改善することがプロジェクトを円滑に実施する上で必要となっていること、NGOの活動がより円滑に行えるよう南スーダン政府の一層の協力が必要であること、等を挙げました。 こののち、遠藤教授をはじめとするパネリスト、大使を含む在京大使館員、一般の参加者より、基調講演およびプレゼンテーションの内容に関する様々なコメントおよび質問が提起され、活発な議論が展開されました。 |