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人間開発報告書(HDR)2013日本発表会を開催

2013 年3月26日


ハリド・マリクUNDP人間開発報告書室長

ハリド・マリクUNDP人間開発報告書室長


人間開発報告書(HDR)2013「南の台頭―多様な世界における人間開発」が3月14日に発表されたことを受け、国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所は、ハリド・マリクUNDP人間開発報告書室長、田中明彦国際協力機構(JICA)理事長出席のもと、HDR2013日本発表会を同26日、東京都内で開催しました。

発表会では、弓削昭子UNDP駐日代表・総裁特別顧問による開会挨拶に続き、HDR2013の主筆を務めたマリク室長がHDR2013の概要を発表しました。マリク室長は、HDR2013のテーマである『南の台頭』について、世界の製品貿易に占める南南貿易の割合が過去30年間で3倍以上増えたなどの具体的な事例をデータや図表で紹介し、輸出所得と人間開発指数(HDI)の密接な相関関係があることについても触れました。

南の国々が今後発展を続ける上で必要なこととして、1)長期的なコミットメント2)雇用創出3)保健と教育4)産業の能力強化をあげました。経済力の向上には人間開発への全面的コミットメントが不可欠であること、南と市民社会の発言力拡大によってグローバルな問題解決が加速できることなどを紹介しました。

続いて、人間開発報告書室アドバイザリー・パネルのメンバーでもある田中JICA理事長が、HDR2013について、3つの側面―21世紀の世界システム、人間の安全保障と包括的な開発、『台頭する南』の政策実行―から次の通りコメントしました。まず、長年西洋が中心となってきた世界政治が南の国々の台頭で変容し、新たな節目を迎えている点に触れたうえで、「『南』の台頭は均一ではなく、国によって格差がある。『南』の国全体が飛躍するためには、開発協力においてより人間の安全保障に目を向ける必要がある」と述べました。また、HDR2013に掲載された、北が南に成功事例を教わった「南北」協力のケースはユニークだとしつつ、JICAが長年力を入れてきた南南協力の重要性についても紹介しました。

発表会には、デイビッド・マローン国連大学(UNU)学長をはじめ、大使館、報道機関関係者、国際開発分野の専門家等約50人が参加しました。発表会後半には参加者を交えての質疑応答、ディスカッションを行いました。マローンUNU学長は、「middle class(中間層)」の定義のあいまいさを指摘し、続いて南の国々が台頭する中、初等、中等教育よりも、高等教育が果たす役割も非常に重要になる点などを強調しました。当日の概要は国連大学のウェブサイトで英語日本語で紹介されています。

人間開発報告書(HDR) はUNDPが1990年からほぼ毎年刊行している出版物で、世界各国の言語に翻訳されて開発現場、政策議論、学術研究などで幅広く活用されています。HDRに関する詳細はこちらをご覧ください。過去のHDR日本語版は2010年版までこちらからダウンロードできます。