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日本政府拠出によるUNDP事業紹介: チュニジアにおける国民対話と制憲プロセス支援プロジェクト

2013年7月26日

プロジェクトによる制憲国民議会を対象とした活動の様子。(C)UNDPチュニジア

プロジェクトによる制憲国民議会を対象とした活動の様子。(C)UNDPチュニジア


チュニジアでは、2011年1月にベン・アリ大統領の長期政権が退陣、政治制度の抜本改革を伴う民主化への歩みが始まりました。国連開発計画(UNDP)は変化に対応すべく、同国に対する支援内容を民主主義への安定的移行の実現に向けた組織・制度支援へと速やかに切り替え、新憲法の制定プロセス・政党の育成・女性の政治参加促進等を幅広く支援してきました。なかでも移行期支援の一環として、UNDPは日本政府より760万ドルの支援を受け「チュニジアにおける国民対話と制憲プロセス支援プロジェクト」を実施しています。

本プロジェクトは、主要ドナーである日本政府の他、ベルギーを始めとする欧州諸国の支援を受け、2012年4月に開始されました。2011年10月の制憲議会選挙により始動した制憲国民議会および市民社会を主な支援対象とし、1)参加型手法に則った包括的な制憲プロセスの支援、2)制憲国民議会の議員ならびに事務局の能力強化、3)国民対話プロセスにおける市民社会の役割支援、という3つの目標を掲げて活動しています。制憲国民会議は、新憲法の制定プロセスのみならず、常時の議会機能も担うため、長期的な能力強化支援が不可欠です。

プロジェクトは着実な成果を挙げています。まず、制憲プロセス支援分野では、中央並びに24の県レベルで憲法に関する協議・対話の機会を設け、制憲プロセスへの市民参加を実現させました。また、制憲国民議会の能力強化分野では、民主的議会制度の下での議会運営方法について学ぶべく、議員によるカナダやベルギーの議会、欧州議会等の視察を実施しました。さらに市民社会支援分野では、国内の市民社会のニーズを把握するとともに、制憲・汚職防止・移行期正義(transitional justice)の各プロセスに市民社会の声を反映させる取り組みを支援しています。

本プロジェクトは、制憲国民議会による制憲作業を中心とするチュニジアの政治的移行プロセスと歩調を合わせ、粘り強く進められています。実施にあたっては、UNDPが長年にわたり世界各地で実施してきた制憲・議会支援活動を通じて培った豊富な知見が活用されています。UNDPはチュニジアにおいて、制憲議会選挙に先立つ2011年前半にも、スムーズな選挙の実施に向け、参加型手法による政党活動法案の起草プロセスを支援するとともに、政治家と政府職員の対話促進に尽力しました。また、2011年夏には、第1回目の「女性の政治参加のための夏季大学」の開催を支援し、選挙キャンペーンの手法や市民社会との連携方法に関する研修機会の提供を通じ、女性の政治参加促進を支援しました。