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UNDP/JICA連携研修と公開シンポジウム:REDD+と社会配慮、ジェンダー

グループワークにてコメントをするLisa Ogle (右) (C) JICA

グループワークにてコメントをするLisa Ogle (右) (C) JICA


研修の修了証書を受け取る参加者(右) (C) JICA 

研修の修了証書を受け取る参加者(右) (C) JICA 


2011年12月13日から16日まで、UNDP/JICA連携研修「REDD+ (Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation) (注1)と社会配慮、ジェンダー」と公開シンポジウム「UN-REDDプログラム及びJICAの森林保全と社会配慮・ジェンダーに関する取り組み」が開催されました。

同研修・シンポジウムは、長年にわたって継続されてきたジェンダー分野におけるUNDP/JICA連携 (注2)の一環で、2010年12月に開催されたUNDP/JICA連携研修「気候変動とジェンダー(初級編)」(注3) での成果をうけて実施されたものです。気候変動が及ぼす男女への異なった影響を理解しそれぞれのニーズに対応する重要性が高まる中、2011年が「国際森林年」であり、2012年には「Rio+20」が開催されることを受け、新たな取り組みとして国際的に注目を集めているREDD+に焦点をあてようという目的のもと立案されました。

REDD+にかかる議論の中では、生物多様性や先住民族コミュニティ、そして女性たちを多く含む貧困層の生活に対するセーフガードをいかに確保するかが重要な課題となっており、UNDPがUNREDDプログラムの事務局として森林保全分野に大きく関わっている他、Global Gender and Climate Alliance (GGCA) を通しジェンダー視点の主流化を先導しているため、知見・経験を共有して欲しいというJICAからの強い要望を元に実現しました。

研修(12月13-15日)では、将来的にJICA専門家等として開発途上国での業務に従事する開発コンサルタントや学生、そして現役の国連職員を含む20数名の参加者があり、活発な意見交換がなされました。初日は、炭素クレジット認証制度やREDD+、ジェンダーに関する基礎知識が共有され、2日目はUNDP/UN-REDDプログラム環境法コンサルタントのLisa Ogleから、UN-REDDプログラムの概要やREDD+におけるジェンダー・社会配慮のエントリーポイントについて講義がありました。最終日にかけて、JICAのラオス事例を元に土地森林利用計画の策定や、コミュニティ・モニタリング、Free Prior and Informed Consent (FPIC)などにどのようにジェンダー・社会配慮の視点を活用すべきかを目的にしたグループ・ワークが行われ、参加者から有意義な提案がなされました。

公開シンポジウム(12月16日)は、2011年に国内で開催されたさまざまなREDD+関連公開ワークショップやセミナーの内、唯一「地域住民の権利・ジェンダー」をメインテーマとしたものとして非常に高い評価を得ました。UNDP環境法コンサルタントのLisa Ogleをはじめとし、林野庁、(社)コンサベーション・インターナショナル、九州大学、JICA地球環境部と多様な経歴の発表者から、国連気候変動会議COP17におけるREDD+及びセーフガードの最新情報や先住民族コミュニティとの協働体制事例、UN-REDDプログラムとジェンダー・社会セーフガード事例やJICAの森林保全分野における社会配慮とジェンダーに関する取組み、そして、REDD+実証活動におけるセーフガードについて発表がありました。多数の参加者と活発な質疑応答も行われ、時間超過で終了しました。

なお、同研修・シンポジウムは、UNDPジェンダーチームのプログラム・マネージャー竹下麦穂(mugiho.takeshita@undp.org)を中心とし、UNDPジェンダーチーム・コンサルタントの斎藤万里子(mariko.saito@undp.org)の協力を得て実現しました。

また、日本政府は、REDD+分野においてUNDP・日本パートナーシップ基金よりアジア・大洋州地域向け案件に約35万ドルを拠出し、同地域のREDD+ 促進のための支援を行っています。同案件担当は、UNDP在バンコク、アジア・大洋州地域事務所UN-REDDプログラムのテクニカル・アドバイザー河野明人(akihito.kono@undp.org)です。



・注1:途上国の森林減少に由来する温室効果ガスの排出量は世界の排出量の約2割と言われている一方、途上国では都市部に人口が集中している先進国とは異なり、森林資源に依存した生活を送る人々が多く存在しています。そのため、持続的な森林保全と住民の生計向上につながる支援の双方に取り組む必要性が認識されています。中でもREDD+は、森林の減少・劣化の抑制に加え、炭素蓄積量の保全・増大、持続可能な森林管理も含んだ取り組みとして、気候変動に関する国際的な枠組み形成の中で、ここ数年急速に関心が高まり活発な議論がなされています。
・注2:1995年に設置されたUNDP・日本WID (Women in Development) 基金の活動を通し、過去10年以上に及ぶ連携が続いています。なお、同基金は、2003年からUNDP・日本パートナーシップ基金の一部に移行。案件成果・ガイドライン・ツールなどはこちらをご参照下さい。
・注3:気候変動とジェンダーの関連性は、気候変動が与える環境や人々への影響に着目することで非常にわかりやすく見えてきます。温暖化による収穫の激減は、男性の失業率をあげるだけでなく、女性が担う家族の食料の確保にも影響します。旱魃によって女性の水汲みに必要な時間と負担が増大するほか、自然災害の犠牲者数も女性のほうが多い傾向にあることから、男女それぞれ異なった影響を理解し取り組むことが重要になります。



公開シンポジウムのプログラム、UNDP環境法コンサルタントのLisa Ogleのプレゼンテーション資料は、ページ下の添付PDFからご覧いただけます。