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紛争予防及び民族和解プロジェクト (CPR)プロジェクト案|ドナー募集中 2002年9月現在
背景コソヴォは政治的、経済的、そして社会的に繊細な過渡期にある。経済がゆっくりと自由市場モデルへと移行している一方で、国連安保理決議1244に基づき提供される少なからぬ自治責任権を、コソヴォ暫定自治政府が徐々に担い始めている。社会面では、難民及び避難民の帰還と少数民族の和解が重大な課題である。全体的に緩和してきているものの、コソヴォには未だに緊張感が存在していることは、戦争犯罪の疑いのあるアルバニア系コソヴォ人の逮捕後のアルバニア系住民の抗議行動や、最近のセルビア系コソヴォ人による国際警察に対する手榴弾攻撃などからうかがうことができる。少数民族が止むことなくコソヴォ外に流出していることは、安全面での不確実さと、先行き不透明な展望を反映している。さらに、大量の人道支援を受けた経験が国際援助に対する期待を若干歪めており、また既に支援を受けたコソヴォ住民と、この段階で未だに支援を受ける見通しが立っていない人々との間に、緊張感が見られる。 最近の施策現行の、コソヴォにおける紛争防止と復興のためのイニシアチブの殆どが、規模の上でも方法論の上でも不十分なものとなっている。特に、民族和解と紛争解決への試みは中央、地方行政レベル、あるいは政策形成段階でのトレーニングという形でしか行われていない。村落レベルでの幾つかのプロジェクトは大変成功しており、村落・地域社会レベルでの介入が有効であることを裏付けている。 プロジェクト概要本プロジェクトは、これまでのプロジェクト経験と村落・地域社会レベルにおける強健なネットワークを活用して以下の内容を達成する。 1. 村レベルでのリーダーシップの強化と地域社会内の緊張緩和
2. 異民族間の和解促進
パートナーシップUNDPコソヴォ事務所は、数々のイニシアチブから得た危機予防と復興に関わる経験により、また最も重要な地域社会レベルでのパートナーとの広域なネットワークにより、本プロジェクトを遂行するに適した立場にある。第一に、コソヴォ違法小型武器規制プロジェクトは違法小型武器回収と、合法的な武器所有者のための立法の骨組みの提供を通じた重要な予防法である。第二に早期警告システムプロジェクトは、紛争や危機状況に陥る前に問題に前向きに取り組むために、コソヴォにおける危機や紛争の本質に関する情報を提供する。第三に人間開発報告書もまた、コソヴォにおける人間開発の全体的な傾向に関する貴重な指標を提供しており、紛争の根本的原因や危機状態の回復への介入に対する得難い手段となっている。第四番目の鍵となるプログラム―村落における雇用と再建プロジェクト(VERP)―においてUNDPコソヴォ事務所は合計22,000名以上のパートナーネットワークを有し、地域内の最も辺鄙な田舎まで対応している。コソヴォにおいて始めて多民族要員を利用したプログラムであることから、このVERPプログラムは地方経済開発と通じた平和構築の基盤を提供し、UNDPと辺境地域との結びつきを固くした。五番目の取り組みは、コソヴォの若者による紛争発生後の参画型プログラム(YPCPP)を通して形作られたコソヴォ・ユースネットワーク(KYN)に関連しており、同ネットワークは全コソヴォの数千人の異民族の若者から構成され、若者が開発過程に積極的に関与できる手段を提供している。北大西洋条約機構(NATO)、コソヴォ国際治安部隊(KFOR)もまた本プロジェクトに対して協力を希望しており物流の支援を申し出ている。 最後に、UNDPのコソヴォ住宅・電化事業プロジェクト(HEIK―日本政府拠出金、19,800,000米ドル)はコソヴォ内の79村で767住宅を再建築した。このHEIKプロジェクトにおける406,239米ドル相当のインフラ(コンピューター、自動車、データベース、施設等)はただちにプロジェクトに導入することができ、それにより相当な費用の節約が可能となる。 プロジェクト戦略上述のとおり、プロジェクトは危機予防と復興・再建を支援するプロジェクトを通したこれまでの経験とパートナーシップを基に構築される。日本政府の拠出による「住宅・電化事業プロジェクト」(HEIK)の機材等を有効活用することで、本プロジェクトは直に活動を開始し、費用を節約することが可能になる。また、若者等を中心として民族和解のプロセスを促進する「平和のためのボランティア」が、再建の試みを支援し、地域社会内外の民族和解を促進する。民族和解プロセスへの画期的な取り組みと新しい再建方法によって、本CPRプロジェクトは持続可能な開発を促進し、紛争削減とさらに深刻な危機の予防に大きく貢献する。 本プロジェクトは、また、2002年夏に実施された次の3種類の試験的プロジェクトの教訓と経験の上に計画される。 1). 若者を通じた民族和解の促進2002年春、シュタイナー国連事務総長特別代表が帰還プロセスに関する傾向の変化の必要性を訴えた。この試みに応え、帰還民とセルビア系国内避難民の為の住居再建を支援するために、UNDPは、コソヴォユース(若者)ネットワークと協力して、ジラン郡での青年キャンプの用意を行っている。アルバニア系の青年達が多数を占めるグループがセルビア系住人のための住居を建築するという点において、本プロジェクトは民族間和解を促進する力強いメッセージを発する事となった。 2). 村レベルにおけるリーダーシップの強化と援助の不平等コソヴォにおける援助資金の必要性は依然高い。ドナーがコソヴォ離れしていることから、過去の国際的な支援の裨益者と未だに支援を待っている人々との間の緊張が激しさを増している。地方公務員に対する身体的暴力や脅迫が、頻繁に起こるようになっている。また、村レベルでのリーダーシップが、十分に育っていないため、村民自身の問題を自分達で解決するまでには到っていない。住宅再建のための支援不足によって、地域社会における暴力や緊張が特に増幅されている。これらの問題に応えるため、UNDPは過去に支援を受けた人々や同地域内の他の住民が、支援を待っている村民の家の再建のためにボランティアで労働力を提供するという新しいアプローチを確立した。同プロジェクトでは「住宅・電化事業プロジェクト」(HEIK)のチームが専門技術と物資の供給を行う一方で、村の指導者が労働力を確保し、再建作業の調整を行う。本プロジェクトにより、村民の同意と参加を促す事に必要とされる村の指導者のリーダーシップを強化することができる。さらに、この方法により再建のための費用を50%削減できる。現在スケンデライ市のアルバニア系コソヴォ住民のために22住居が再建されている。 3). 異民族住民の参加による再建を通じた異民族間の和解アルバニア系の若者がセルビア系住民の住居を再建するという再建活動を通じた民族和解促進のための手法を生み出したUNDPはアルバニア系住民がセルビア系住民のための住居を建設し、またセルビア系住民がアルバニア系住民のための住居を相互に再建するという第三の手法を試みている。同プロジェクトは紛争後始めて村のリーダーを一同に集め、2つの民族間の和解を促進するプロジェクトを提供した。この業績は特に、コソヴォ解放軍(KLA)発祥地で、コソヴォ内での反セルビア感が強いとみなされているスケンドライ市において意義深い。ルニック村に、セルビア系、アルバニア系住民の両方へ対し、全体で15住居が再建されている。 予算(概算)
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