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コソヴォ独立メディア支援プロジェクト (KIM)

プロジェクト実施中|全額調達済 2002年9月現在
プロジェクト概略
プロジェクト名 コソヴォ独立メディア支援 プロジェクト
目的
1. 通信機器の供給を通じたコソヴォにおけるラジオ、テレビの地上波通信システムの強化
2. スタジオ装置の供給を通じた独立メディアの運営、番組制作・編成、公共情報サービス配信能力の強化
対象受益者 公共放送局「ラジオ・テレビジョン・コソヴォ (RTK) 」
コソヴォ地上波遠距離通信ネットワーク (KTTN)
実施機関 国連プロジェクト・サービス室(UNOPS)
プロジェクト
実施期間
2000年5月〜2002年8月
ドナー 日本政府
プロジェクト
総予算
15,217,702 米ドル

背景

公正なメディアは民主化へのプロセスにおいて極めて重要な手段である。正確なニュースや情報公開の為の重要な伝達ツールとなる、独立メディアは民族和解、人権尊重、公的・民間セクターの透明性、そしてエンターテイメントを促進する。コソヴォにおけるメディアと情報公開システムは、1999年の紛争以前の長い間、国家管理の下に置かれていた。テレビやFM地上波を含む遠距離通信設備の多くは、紛争中に破壊されるなどの被害を受け、人々は一般情報を得るために、衛星放送を頼る必要性にせまられた。ニュースや番組編成に対する地元の要求に応えるため、民間メディア(殆どがアルバニア系コソヴォ住民向け)の助成や公共メディア(ラジオ・テレビジョンコソヴォ(RTK))の再生を通して、メディア、情報公開の育成が試みられた。
「コソヴォは長い間、情報妨害の下で人々は卑劣な政治宣伝の標的として苦しんでいた。コソヴォでは、メディアによってのみ満たされる客観的で信頼出来る情報(それらの情報は民主的な指導者や新しい技術を反映しているのであるが)に飢えていた。− 最終的な目標は、コソヴォ社会のための、コソヴォ人経営者やスタッフによって運営されるモダンな公共放送局RTKを創ることである。」(クシュネル元国連事務総長特別代表)

プロジェクト概要

プロジェクト資金はすべて日本政府の拠出金(約15.2百万米ドル)でまかなわれ、主に以下の2点の達成を目標とした。

1. 通信機器を供給することにより、コソヴォにおけるラジオ、テレビの地上波通信システムの強化を図る。
2. スタジオ装置を供給することにより、独立メディアの運営、番組の制作・編成、公共情報サービス発信の能力強化を図る。

コソヴォ独立メディアへの支援プロジェクトは、コソヴォにおける独立メディアへの技術支援を通じて情報の自由を促進する。プロジェクトの介入により、RTK公共放送局のローカル番組(ニュース番組、公開討論、文化や教育に関する番組など)の制作や放送能力が劇的に進歩している。プロジェクトの下、送信機やマイクロ波中継装置を設置することで、コソヴォ領域内の地上波通信システムの修復を行っている。また、地方のラジオやテレビ番組の制作の為のスタジオ装置の供給も行っている。プロジェクトの主要な要素に現地放送局職員の能力強化があり、RTK放送局の職員に対して、本プロジェクトによって調達される全ての機器の操作方法と維持方法の訓練が実施されている。かかる支援の結果として、地元で制作されるラジオ・テレビ番組の質の向上と数の増加が期待される。コソヴォの住人は地元の情報を地元の言語によって提供されるという恩恵を受けることが可能となる。

パートナーシップ

全欧安保協力機構(OSCE)による包括的な調整の下、このメディアプロジェクトは米国際開発庁(USAID)及び国際研究交換委員会(IREX)と連携して、コソヴォの90%の人口にテレビ・ラジオ番組へのアクセスを供給することを目的としたコソヴォ地上波通信ネットワーク(KTTN)の設立をはかっている。本プロジェクトの極めて重要なパートナーは日本政府であり、日本政府からの追加的資金援助無くしては、この重要なプロジェクトは存続し得ない。

成果の持続可能性

本プロジェクトの要は、RTK公共放送局の職員に対して、RTK・KTTN双方のスタジオのために新規購入される機器の操作及び維持に関する訓練を実施することにある。将来的には、広告収入と電気料金の一般課徴金を組み合わせることでRTK放送局の独立運営を目指す。

現在の実施状況

本プロジェクトはRTK公共放送局がコソヴォにおけるメディア組織の指導的地位を確立する助けになっている。プロジェクトによる支援で、RTK放送局は以下を達成することが出来た。

> これまで放送の行われた1209日のうち、1206日間間断なく放送を実施
> 2002年春より毎日24時間放送開始
> オリンピックやワールドカップを含む主要イベントの生放送を実施
> コソヴォで使用されている全ての言語(アルバニア語、セルビア語、トルコ語、ボスニア語、ロマ語)による放送を実施
> 数民族言語によるデイリーニュース番組の割合を26%に増加
> 同一施設内において多数民族と少数民族出身のジャーナリストが共に働くというスタンダードを確立することによる、民族間の和解促進
> 一週間当たり合計67%、一日当たり合計57%(コソヴォ人口比)の視聴率達成
> RTK放送によるイブニングニュースの視聴率74%を達成 (他のコソボ全域テレビ局の同時間帯視聴率は31%、24%)
> 20−29歳及び12−19歳の一週間当たりのRTK放送視聴率は、それぞれ69%、66%を達成―コソヴォは若い人口が非常に多い(コソヴォ人口の54%が25歳以下)ため、RTK放送による民族間協力は、コソヴォにおける持続可能な開発のために、非常に重要である。

プロジェクトは現在最終段階にあり、コソヴォにおける国際協力の主要な成功例となっている。プロジェクトの全ての目的は達成され、コソヴォの将来を形成する強力な手段が確立された。本プロジェクトは2002年第三四半期に終了する予定。

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