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平和のためのボランティアプログラム

プロジェクト案|ドナー募集中 2002年9月現在
プロジェクト概略
プロジェクト名 平和のためのボランティアプログラム
活動分野 紛争後における復興と民族和解
テーマ 民族間の信頼醸成と平和構築にむけたボランティア精神の促進
目的 コソヴォにおける民族間の信頼醸成と平和構築のために若者や社会の参加を得る
対象受益者 隣接した地域社会、コソヴォ市民社会、政府、平和構築及び開発関係者
実施機関 UNDPが 、国連ボランティア(UNV)、
NGO、国連機関と協力して実施
プロジェクト
実施期間
3 年間
プロジェクト
総予算
500,000米ドル

背景

コソヴォは政治的、経済的、そして社会的に繊細な過渡期にある。経済がゆっくりと自由市場モデルへと移行している一方で、国連安保理決議1244に基づき提供される少なからぬ自治責任を、コソヴォ暫定自治政府が徐々に担い始めている。社会面では、難民及び避難民の帰還と少数民族の和解と社会への再統合の問題が重要な課題である。全体的に緩和しているものの、暴力と不安定さは潜在的に顕著に残存しており、少数民族が止むことなく流出していることは、安全面での不確実さと、不透明な展望を反映している。さらに、大量の人道支援を受けた経験が国際援助に対する期待を若干ゆがめており、また、すでに支援を受けたコソヴォ住民と、未だ支援を受ける見通しがたっていない人々との間に、緊張感が見られる。

更に、かなり大多数の教育を受けた若者(人口の54%が25歳以下)は、短中期的な雇用の見込みがたたない状況にある。近い将来、この若いエネルギーを前向きに役立てない限り、コソヴォにおいて増殖しやすい犯罪行為や準軍事的行動に依存させるような落胆と諦めの風潮が広まる恐れがある。若い人々がコソヴォの開発に前向きに携われるような、地域社会に根付いた開発活動プログラムが、コソヴォ全土で繰り広げられる必要がある。

UNDPは、コソヴォや南東欧の他の国々においてこのような地域社会イニシアチブを展開してきた実績がある。また、世界136か国にあるUNDP事務所のネットワークを利用して知識や経験の共有を図っている。コソヴォにおいては、第一に、「村落における雇用と再建プログラム(VERP)」に参加した合計22,000名以上とのネットワークを有し、そのネットワークはコソヴォ内の最も辺鄙な地域まで網羅している。右プログラムは、コソヴォにおいて初めて異なる民族出身者の参加を得て実施したプログラムであり、地方経済開発をとおして平和構築の基盤を築くものであったと同時に、UNDPと様々な地域社会との結びつきを固くした。第二のイニシアチブは、「若者による紛争後の参画型プログラム(YPCPP)」をとおして形成されたコソヴォ・ユース・ネットワークに関連している。同ネットワークは、コソヴォ全域の数千人の様々な民族の若者から構成され、若者が開発過程に前向きに関与することを可能にする貴重な手段となった。このほかにも、住居復旧プログラムやその他のプロジェクトによって、受益者との間に強力なネットワークを築きあげることとなった。本プロジェクトは、これらのネットワークを効率的かつ効果的な方法で活用しようとするものである。

UNDP _ 信頼関係の醸成と平和構築に向けた人的資源の活用

近年、開発活動の主な焦点は、技術協力から、受益国や地元のキャパシティー強化と地元機関の強化へと変化してきた。コソヴォ人ボランティアを活用する本プロジェクトは、こうした背景を踏まえ、開発や人道目標に資すべきボランティア活動やボランティア精神を培うことを目的とした、斬新で実験的なプロジェクトとして発案されたものである。報酬にこだわることなく、自分の持つ専門知識を他の人々に捧げる機会を広く設けるものであり、これは、まさにボランティア精神の真髄にも通じる。また、コソヴォ人ボランティアと外国人からなる国連ボランティアや開発関係者が共に働くことで、それぞれの持つ知識や技術を合わせる機械を提供する。

UNDPはこれまでの経験から以下の点を学んだ。
ナショナル・ボランティア(本プロジェクトではコソヴォ人ボランティアを指す)の活用は地元地域のキャパシティーを強化するための効果的な方策である。
ナショナル・ボランティアが提供する地元の知識や技術は、プロジェクト活動に付加価値をもたらす。更に、彼らの存在が地域社会のプロジェクトに対するオーナーシップを高め、自助努力を促す効果を持つ。
ナショナル・ボランティアの活用は、困難な状況下においても地域社会のために奉仕する用意のある、優秀で、やる気のあるコソヴォ人の動員を可能にする。

プロジェクト戦略

コソヴォにおいては、ナショナル・ボランティア(即ちコソヴォ人ボランティアを指す)の概念を「平和のためのボランティアプログラム」として実現する。平和のためのボランティアプログラムの狙いは、若くて優秀なコソヴォ人が、自分たちの地元のために尽くす熱意を育むことによって、社会開発や人道的努力を支えるボランティアの精神や自助努力の精神を強化していくことにある。

平和ボランティアプログラムは、まず、優秀なコソヴォの若者を集め、彼らが参加型トレーニングをとおして、奉仕活動に必要な技術やツール(信頼醸成、平和共存、キャパシティー・構築等)を身につけていく。それは、全ての参加者が、目標や関心を共有し、多様な利害関係を受け入れることをとおして、仲間意識や信頼関係を育まれるプロセスである。平和ボランティアはコソヴォにおける多様な民族構成を反映するものとする。本プログラムのコーディネーターがコソヴォ内の20の主な自治体にベースをおき、それぞれの地区で、UNDP、他の国連機関、或いは政府のプロジェクトのための平和ボランティアを動員していく。

本プログラムは、地域におけるリーダーシップを築き、また民族、政治問題への寛容さを育みつつ、下から物事を築き上げていく参加型の気風を促進する。本プログラムは、地域社会レベルにおける長期的な関係構築のにつながるような、民族間の共同作業を必要とする活動を重視する。


平和のためのボランティアプログラムは次のような効果を得るための理想的なメカニズムである。

地域ベースの活動を支援
ネットワークの構築とネットワーク間の協力
紛争や救援活動下での支援体制
平和構築と人権の促進
専門的技術を要する支援
専門技術の移転
    地元のイニシアチブと通じた開発に対する地元の関心、資源、活動の動員
共通の問題の解決を通じた、民族間、地域社会間の交流の増進
地域開発に関わる包括的な討論を通じたジェンダー意識の改善
ボランティア精神の概念を通じた、生活レヴェルの改善に向けた地元社会による活動の増進

平和ボランティアは次のとおり数多くの役割を果たす。

地域社会動員オフィサー: 全民族からなる平和のためのボランティアは地方自治体あるいは村落に配置され、地元開発プロジェクトのフォーカル・ポイントや発案者としての役割を果たす。彼らは村落コミュニティー間、或いは様々な利害関係者間の連絡員としての役割も果たす。また、村落レベルでのボランティア精神を増進する。
コソヴォにおける雇用と民族和解プロジェクト(PERK): 国内避難民・難民の中から採用された平和のためのボランティアは外国人からなる国連ボランティアと共に、(1)経済開発を通して少数民族の帰還と地域社会の安定化を支援し、(2)所得創出や雇用の増進を通して地元の経済開発を支援し、(3)地元レベルで民族間の和解と少数民族の社会への統合を促進する。
住居再建: 平和のためのボランティアは、全ての人々が援助の恩恵を受けられるよう、損害住居の再建のために地域住民の参加を促進する。帰還民や民族間の協力を推進することを重視する。
青年プログラム: 平和のためのボランティアは、コソヴォの持続可能な未来を築くため、様々な青年団体を動員する。

プロジェクトの構成

本プログラムは以下の要素から構成される。

平和のためのボランティア体制づくり:
  平和のためのボランティアを監督、派遣するための手続や行政システムを構築する
平和のためのボランティアネットワークの設立:
  地域社会、メディア、国連、インターネット、平和のためのボランティア調整員を活用して、コソヴォ全土を網羅する地域社会レベルでのボランティアのネットワークとロスター(候補者名簿)を構築する
平和のためのボランティアのキャパシティー強化:
  紛争解決、リーダーシップ、プロジェクト運営、マネージメントのためのトレーニングを通して、地域住民の動員に必要なキャパシティーをつけていく。
信頼の醸成のためのボランティアの動員:
  平和のためのボランティアが、UNDPや他の国連機関、政府とともに携われるような、活動の機会を特定する。平和のためのボランティアは、平和と信頼の醸成、地域社会の開発のための貴重なインプットとなる。コソヴォ全体で10,000名のボランティアの動員を目指す。

予算(概算)

予算項目 米ドル
1. 平和のためのボランティア(地方自治体調整員20名)
312,000
2. 外国人国連ボランティア調整員、指導員、各1名
108,000
3. トレーニング、ワークショップ
40,000
4. 機材その他
40,000
合計プロジェクト予算 500,000

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