パートナーシップ事例:
「アフリカン・フェア2008」にUNDP/日本WID基金の支援するガーナ・シアバター生産者が参加
概要:
第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)公式イベントの一つとして、日本貿易振興機構(JETRO)および経済産業省の共催による「アフリカン・フェア2008」が、5月28日から6月1日までパシフィコ横浜で開催されました。UNDP/日本WID基金(以下WID基金)がガーナで実施しているプロジェクト「北部ガーナにおけるシアバター産業支援を通じた現地女性のエンパワーメントと貧困削減」を通じて実際に技術指導を受けた二人のシアバター生産者の女性が招聘され、製造工程のデモンストレーションを行いました。
シアバターとは、赤道直下の西アフリカと中央アフリカに自生するシアの実から採れる天然油脂です。やわらかく、肌の潤いを保つので、保湿クリームや日焼け止めなど、化粧品の原材料として利用されてきました。降雨量が少なく土壌がやせているガーナ北部においてシアバターは貴重な収入源であり、60万人以上の女性が関連産品の製造・販売に生計を依存しています。しかし、持続的な収益確保のためには、品質および生産量の安定と販路開拓が大きな課題となっています。
UNDPは2007年1月より、WID基金の支援を得て、現地NGOのアフリカ2000ネットワークとともに「シアバター産業支援を通じた女性のエンパワーメントと貧困削減プロジェクト」を実施しています。同地域のシアバター産業に対しては、既にJICAが2006年より開始された「地場産業活性化計画」の一環としてシアバターの標準製造工程マニュアルの制作を支援したほか、JETROも2004年から3年間にわたって市場開拓支援を行い、ハーブ・アロマテラビーの専門店「生活の木」によるシアバターとシアバター石鹸の対日輸出が実現しました。
今回、JETROとWID基金の招聘により来日したのは、北ガーナのサナリグ地方に住むAzara Imoro(アザラ・イモロ)さんとAbiba Alhassan(アビバ・アルハッサン)さんです。アザラさんはサナリグ女性センターでシアバターの生産に参加しています。アビバさんはシアバター生産者グループのリーダーで、サナリグ女性センターに設立当初から関与し、現在は5人の女性たちと共にシアバターを原料とした石鹸を製造・販売しています。2人とも女性センターへの参加によって増えた収入を、子どもたちの教育費に充てています。フェア会場の「一村一品」エリアに設営されたシアバター・コーナーには、報道陣や輸入業者が次々と訪れ、ガーナから運んできた道具と材料を使い、現地と同じ工程で黙々と作業する2人の手元に見入っていました。また、2008年1月のダボス会議における特別講演において、シアバターを日本政府の主導する「一村一品運動」の成功事例として紹介した福田総理大臣(当時)もシアバター・コーナーに立寄り、デモンストレーションを視察しました。
参考資料:
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