国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所のウェブサイトは2013年9月に移転しました。
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「ゴンダブ+ワテテメコ」のパフォーマンス風景 |
モデレーターの
箱山 藤女子大学教授
第二部では、『地域はアフリカとどうかかわるか?:北海道とアフリカ』と題し、「北海道発でできることは何か?」をテーマに、地元北海道の先駆者から活動の報告がありました。モデレーターの箱山富美子教授からは、西アフリカにおけるJICAと藤女子大学による村落レベルの水供給担当行政官の招へい・研修事業や、北海道大学とブルキナファソの国際研究機関による生活循環型の水・廃物利用に関する共同研究について紹介がありました。
続くパネリストの発表ではまず、北海道国際交流センターの池田誠事務局長が、函館に拠点を置く同センターの活動として、留学生のホームステイ・プログラムを中心とした体験型の国際交流事業を紹介。アフリカとのつながりとして、アフリカからの留学生の受け入れのほか、地元の市民向けにアフリカの料理、ダンス、太鼓などのワークショップ、アフリカで活動している日本人による講演会を開催し、アフリカの文化に親しむ機会を作っていることを報告しました。北海道大学大学院医学研究科国際保健医学分野の玉城英彦教授は、北海道大学大学院ではJICAの協力のもと、特にHIV/エイズ分野でアフリカからの研修生を受け入れており、既に50人以上が本国に戻って活躍していることを報告しました。また、アフリカにおけるHIV/エイズ問題に関して、南部アフリカでの感染が非常に高いことを指摘。「アフリカに投資することは我々の未来に投資することだ、という広い視野に立ってアフリカへの支援や協力を考えてもらいたい」と参加者に呼び掛けました。北海道新聞の田中祥彦記者は、地方紙における国際問題、特にアフリカ問題の報道の現状と課題について発表しました。田中記者は、カイロ支局駐在時代の、ウガンダ北部の反政府勢力や南アフリカのHIV/エイズ状況の取材経験、昨年の北海道洞爺湖サミットの取材経験を語り、地方紙における国際ニュースの報道について、国際面は暮らしや健康の問題を扱う生活面に比べて人気度が低いため、紙面が削減される傾向にあるという現状を報告しました。そのうえで、「日本国内の雇用情勢・経済が悪化し、厳しい状況ではあるが、来年の南アフリカでのワールドカップに向けて、北海道の事象と結び付けた記事づくりを目指したい」と抱負を語りました。富士メガネの金井代表取締役会長は、同社が25年以上にわたって実施し、内外から高い評価を受けている国際協力活動を紹介しました。富士メガネでは、メガネが必要な難民の居住地に社員がボランティアとして直接出向き、検査をしながらメガネを提供する、という取り組みを通じ、専門的技術・知識・人材・製品の提供を無償で行っています。これまでに、27回にわたってタイ、ネパール、アルメニア、アゼルバイジャンなどへのミッションを実施。延べ134名の社員が参加し、約12万組近い新しい眼鏡を提供したという実績を誇っています。活動は単独で行うのではなく、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などと連携し、現地の政府やNGOなど、現地の人々との信頼関係を構築しながら、共同作業で行っていることを説明し、技術移転や人材育成への要請を受けて、タイからの研修生に技術指導をおこなった事例を紹介しました。箱山教授は、パネル・ディスカッションの総括として「(パネリストの)情熱の源はなんだろう、と考えた。私自身がいろいろなところに行って感じたことだが、私たちに情熱を与えてくれるのは、アフリカの人たちが持つ、人間の温かさ、毅然とした誇りを持って生きる強さ、といった、発達した日本では忘れかけてしまっているものを強烈に持った社会とのふれあいであり、それによって私たちはエネルギーがもらえて、いきいきしてくる。みなさんが語ってくださった活動の背景、情熱の背景にはそういったものがあるのではないか?日本国内では経験することができない国際交流をすることで得るのではないか?」と感想を述べました。
「動く→動かす」の
稲場 事務局長
最後に、セミナーの共催者を代表して、動く→動かす(GCAP Japan)の稲場雅紀事務局長が総括発言を行いました。アフリカは、本イベントのゲストに代表されるような多くの日本人を魅了する場所である一方、未だに厳しい現実に直面していることを指摘。現在アフリカを直撃している、食糧危機、燃料危機、世界経済危機は、アフリカに責任のあるものではなく、先進国の一部の人々によって引き起こされた危機である、と述べました。
圧倒的な豊かさと活力を持ちながら、貧困と飢餓のそこに沈む多くの人々を抱えるアフリカに対して、同じ地球に生きる友人として私たちに何ができるかを考える必要がある、と訴えかけました。「貧困をなくそう、世界を今より少しでも良くしよう、という意思を目に見える形であらわすこと」の大切さを挙げ、誰もが今すぐに参加できることとして、現在世界規模でGCAPと国連が協力して行っているStand Up Take Actionキャンペーンを紹介しました。10月17日の世界半貧困デーに、「スタンド・アップ」する(立ち上がる)ことで、世界でどれだけ多くの人たちが貧困について考えているかを目に見える形でしめし、世界のリーダーたちに貧困問題への一層の取り組みを求めるアクションであり、昨年は全世界で1億1700万人が参加し、日本でも41都道府県で2万2700人もの人たちが立ち上がった、と説明。今年も、10月16日から18日にかけて実施するので、ぜひ参加して欲しいと呼び掛け、会場の参加者は全員立ち上がり、「スタンド・アップ」の予行演習をしました。