TICAD III開幕:各国・機関代表がアフリカ支援の重要性を強調

2003年9月29日

第三回アフリカ開発会議 (TICAD III) が本日開幕し、21ヵ国のアフリカ諸国首脳が演説を行いました。会議に参加した各国、機関の代表者は一様に、アフリカ諸国の抱える問題にアフリカ自身が取り組むべきであるとする、共通の決意を表明しました。

小泉純一郎 総理大臣は開会式の基調演説において、来日した使節団を歓迎し、「21世紀をアフリカの世紀にしようというアフリカ諸国の意思」に敬意を表しました。また、TICAD IIIにおける最も重要なテーマを、アフリカ開発における国際社会の知恵と経験を「アフリカ開発のための新パートナーシップ (NEPAD) 」支援に結集することにあると述べました。小泉総理はまた、アフリカに対し、HIV/AIDS対策を含む保健医療、教育、水や食糧支援等の分野において、今後5年で10億ドルを目標に無償資金協力を実施することを表明しました。

コフィ・アナン国連事務総長は、ガンバリ国連事務次長の代読によるメッセージにおいて、1990年代には下降傾向にあったドナーの対アフリカ支援に回復の兆しが認められ、いくつかの債務軽減措置、外資による新規対アフリカ投資案件も行われるなかで、依然としてさらなる努力が求められている、と述べました。「さもなければ、NEPADからも支持を受け、十分な意思と資源をもってすれば実現できるであろうミレニアム開発目標 (MDGs) も、ほとんどの国にとっては、そのうちの数項目の達成すらおぼつかないであろう」

日本政府、アフリカのためのグローバル連合 (CGA) アフリカ担当事務総長特別顧問室 (OSAA) 、世界銀行とともにTICAD IIIを共催する国連開発計画 (UNDP) からは、マーク・マロックブラウン総裁が使節団を率いて来日しました。同総裁は、今回の会議が多くの指導者の参加を得たことについて、日本が継続的にアフリカ開発および国際開発協力に支援を行ってきたことの証である述べました。

マロックブラウン総裁はアフリカ開発の現状について、地域全体に希望の光が見える一方、否定的な徴候も見られる、と述べました。また、アフリカはMDGsの達成が最も危ぶまれている地域であるが、資金不足という言い訳はもはや通用しないとして、この流れを食い止める必要性を強調しました。「イラクに数十億ドルという規模の必要資金が取り沙汰されており、その財源が足りないと言われているけれども、それは事実ではない。足りないのは政治的意思である」

開会式では、アフリカ主導による同地域の開発への取り組みをどのようにして支援するべきか、という点について、発言が相次ぎました。エチオピアのゼナウィ大統領は、TICAD IIIの共催団体であるのGCA議長として発言し、NEPADへの支援がTICAD IIIの基本テーマであるとし、TICADがNEPADと共有する理念は大きな影響力を発揮してきたことについて触れました。「“オーナーシップ (自助努力) とパートナーシップ”は、アフリカ開発を語る言葉として定着しつつある。これは、アフリカ諸国にとって、そして開発プロセスにとって非常に大きな進歩である」

「NEPAD支援」をテーマとした全体会合で発表を行った首脳の一人であるナイジェリアのオバサンジョ大統領は、「TICADは是非NEPADに引き継がれるべきだ」と述べました。

TICAD IIIにおけるもうひとつの主要テーマとしては、アジア・アフリカ協力に焦点をあてた南南協力が上げられます。この点についてアフリカ連合 (AU) 議長を務めるモザンビークのチサノ大統領は、「我々はNEPADのプログラムおよびプロジェクトの実施への、アジア諸国の参加を期待する。我々はTICADがこの目標の実現に向けた枠組となると信じている」

以上
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