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TICADの3本の柱TICADイニシアティブは、以下の3本の柱を中心として革新的な活動のうねりを巻き起こしています。 TICADイニシアティブは、南南協力の重要性、特にミレニアム開発目標 (MDGs) 達成に向けた農業生産性の向上と、アジア・アフリカ間の貿易及び投資促進の必要性を強調しています。 平和の定着アフリカの武力紛争は、経済活動の崩壊や一般市民の生活の寸断など深刻な人的被害をもたらしました。TICADイニシアティブは、難民や国内避難民の支援、元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰 (DDR) 、地雷除去活動、小型武器(SALW)の回収と廃棄を目指した幅広い取り組みを支えています。 過去数年、平和構築支援は日本の国際協力の新しい柱となりました。アフリカで進行中の幅広い平和プロセスに呼応し、日本政府は2005年アフリカの14カ国に約6,000万米ドルの支援を提供しました。 日本は、スーダンが2005年1月に南北包括和平合意 (CPA) に署名したことを受け、スーダンの平和構築のための支援を増強しました。 TICAD関係機関はグッド・ガバナンスの分野において、NEPADイニシアティブの一つである「アフリカにおける相互審査システム (Peer Review Mechanism: APRM) 」を支援しています。 「人間の安全保障基金 (UN Trust Fund for Human Security: UNTFHS) 」は1999年、人間の安全保障という概念を世界規模で具体的な行動に移すため、国連内に設立されました。同基金の創設にあたって、日本は約2億米ドルを拠出しています。同基金が支援するプロジェクトの多くはアフリカで行われています。UNDPアフリカ局TICAD担当部は、現在、国連人間の安全保障ユニットと協力し、包括的な人間の安全保障に関するアフリカ報告書を発行するプロジェクトを進めています。 人間中心の開発アフリカ諸国の食糧安全保障は、農業分野におけるアジアとアフリカの協力によって一気に前進しました。その特筆すべき事例は、病気・乾燥に強い西アフリカ在来種と高収量のアジア種の稲を交配させた米の新品種である「ネリカ米 (NERICA:New Rice for Africa :アフリカのための新しい稲) 」の開発です。ネリカ米はTICADイニシアティブによって、アフリカ諸国に広がっています。日本は、ネリカ米の普及促進を支援する一方、ネリカ米開発の成功体験を活用し、他の農産物の品種改良・開発のための農業試験・研究や政策立案を支えています。ネリカ米は、日本政府とUNDP、アフリカ開発銀行(AfDB)、アメリカ国際開発庁(USAID)、国連食糧農業機関(FAO)およびロックフェラー財団の共同支援により、西アフリカ地域で開発されました。タンパク質が豊富で雑草や病害虫に強く、在来種に比べて栽培期間の短い品種です (在来種の栽培期間は140日ですが、ネリカ米はわずか90日で収穫できます) 。 日本は、アフリカでマラリア対策のための蚊帳供与事業にも積極的に関与しています。日本政府は、ミレニアム・プロジェクト報告書の冒頭で提案されている「即効策 (Quick Win Actions) 」に応え、2007年までに長期残効型の殺虫剤処理をした蚊帳を約1,000万帳供与することを決定しました。日本の支援は、母子保健プログラム、家族計画、情報提供、教育や通信の普及、女性のエンパワーメント、HIV/エイズ等の感染症対策にも向けられています。これにより、約300万の人々に安全な水が届けられ、260万の子どもたちが給食プログラムや校舎新設など教育機会を付与されました。 日本政府は、「人間の安全保障」の理念に基づいて「アフリカ・ビレッジ・イニシアティブ」を開発しました。このイニシアティブは、インフラ整備、住民のキャパシティ・ビルディング、その他のプログラムを組み合わせ、農村開発を支援し地域社会の自立促進を目指すものです。このプロジェクトは、農村地域社会における学校建設、学校の敷地内における井戸や水道施設の整備といったモデルから無料給食モデルまで、多岐にわたります。 経済成長を通じた貧困削減2004年11月、第三回アフリカ開発会議 (TICAD III) の重要なフォローアップとしてアジア・アフリカ貿易投資会議 (AATIC) が東京で開催され、「経済成長を通じた貧困削減」と「アジア・アフリカ協力」の重要性が改めて確認されました。AATICの主要な成果は、「アジア・アフリカ貿易投資促進のためのTICAD-NEPAD共同枠組」文書に、UNDPを含む他のTICAD共催者立ち会いの下、NEPAD代表と日本政府が署名したことです。 第二回アフリカ開発会議 (TICAD II) 後の1999年、アジアとアフリカの間にビジネス関係を構築・強化する目的で、「ヒッパロス・センター」の名で知られる「アジア・アフリカ投資・技術移転促進センター (AAITPC) 」が創設されました。国連工業開発機関 (UNIDO) は、日本政府の資金援助を受けながら、AAITPCのアジア諸国からアフリカ諸国への投資と技術移転の促進活動を支援しています。 1998年のTICAD II後、TICADプロセスの下、4回にわたりアジア・アフリカ・ビジネス・フォーラム (AABF) が開催され、アジアおよびアフリカの優良企業同士の個別商談の場が提供されました。TICAD II終了からTICAD III開催までに2回のフォーラムが実施されました。1999年10月にマレーシアのクアラルンプールで開催された最初のフォーラムには、アフリカおよびアジアからビジネス関係者110名、2001年7月に南アフリカのダーバンで開催された第二回のフォーラムには、アフリカ企業120社、アジア企業60社以上から140名を上回る参加がありました。第三回のフォーラムは、2004年セネガルのダカールで開催されました。将来の合弁事業のパートナーを発掘する機会を提供し、アジア・アフリカ間の直接投資と貿易を促進することを目的に実施されたこれら3回のフォーラムでは、総額1億5,290万ドルの取引が成立しました。第四回目となるフォーラムは、2007年に開催されました。 AFRASIA ビジネス協議会 (AABC)は、アフリカとアジア諸国の企業による貿易・投資活動に支援を提供するUNDPの代表的イニシアティブの一つです。2005年3月、AABCはモーリシャス政府とアジアとアフリカの起業家の協力を得て、モーリシャスで活動を開始しました。開会式には、アフリカ連合 (AU) の代表として貿易産業委員、AABCの主催国であるガーナからは通商産業副大臣、さらに「アフリカ開発のための新パートナーシップ (NEPAD) 」ビジネス・グループ会長が出席しました。AABCは、情報管理、官民パートナーシップ促進、起業、技術および知識の向上・開発の4部門から構成されています。AABCは、投資及び技術機会を提供するバーチャル・マーケット:AFRASIAエクスチェンジのポータルサイトを運営しています。 アフリカ・アジア中小企業 (SME) ネットワーク (テクノネット・アフリカ)は、2004年6月に南アフリカで創設されました。テクノネット・アジアとの連携を通じ、アジアの中小企業 (SME) 育成の経験を共有することが主要な役割です。テクノネット・アフリカの創設メンバーは、アフリカ7カ国のSME育成に携わる公的及び民間セクター機関です。プロジェクトの第1期 (2004〜2007年) においてテクノネット・アフリカは、農業関連産業、食品加工業、金属加工業のSMEsの育成に集中する予定です。
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