TICAD III閉幕　アフリカ開発に向けたグローバルなパートナーシップを要請

2003年10月1日

第三回アフリカ開発会議 (TICAD III) は10月1日、グローバルなパートナーシップの精神に則ったアフリカ開発への支援を国際社会に要請して閉幕しました。アフリカに関する会議としては過去最大規模となったこのTICAD IIIでは、50ヵ国のアフリカ諸国を含む89ヵ国からの代表団、47の地域機関及び国際機関、並びにNGO等の市民社会団体による参加のもと、「TICAD 10周年宣言」が採択されました。

「TICAD 10周年宣言」は、1993年より始まったTICADプロセスの10年を振り返るとともに、アフリカと国際社会の相互の信頼関係に基づいたパートナーシップの理念を、将来に受け継がれるべき基本理念として再確認しました。森　善朗議長は3日間の会議について、「国際社会によるアフリカ、特に『アフリカ開発のための新パートナーシップ (NEPAD) 』に対する支援の結集、そしてアジア・アフリカ協力といったパートナーシップの拡大への道筋が示された」と述べました。日本政府とともに本会議を共催したのは、国連開発計画 (UNDP) 、アフリカ担当事務総長特別顧問室 (OSAA) 、アフリカのためのグローバル連合 (GCA) 、世界銀行です。UNDPのマーク・マロックブラウン総裁は、アジア・アフリカ間、そしてアフリカ域内におけるパートナーシップの拡大をテーマとした全体会合で進行役を務め、次のように述べています。「アジアの奇跡的な景気回復は、それを目の当たりにした者たちに多くの示唆を与えた。とりわけ教育分野への優先的投資を重視したアジアの経験からアフリカが得るものは非常に大きいだろう」

この全体会合へのアジア諸国からの参加者のなかでも、韓国代表のKim Suk-Hyun氏は、NEPADをアフリカ開発の新たな契機として歓迎し、韓国の著しい経済成長が海外からの援助のみによって達成されたものではなかったことを強調しました。「我々の成功の要因は、韓国政府が大々的かつ包括的な経済計画を実施し、インフラ整備、農産物の生産性向上に力を注ぎ、民間企業を育成したことに帰せられる」

TICADプロセスは今後も継続され、2004年秋にはアジア・アフリカ貿易投資会議が開催されます。「アフリカのための新しい稲 (NERICA) 」を始めとするアジア・アフリカ協力の具体例、そしてTICADの支援を受けてアフリカ各地で実施されている情報通信技術 (ITC) プロジェクトの拡大は、将来に向けた協力体制の重要な礎となるものとして評価されました。

TICADプロセスに最も長く関わってきたアフリカ指導者の1人、ガボンのEl Hdji Omar Bongo大統領は、会議を締めくくるにあたって、あらゆる統計上の数値がアフリカの暗い未来を示している現在にあってTICADがNEPADに支持を表明したことに歓迎の意を表しました。「TICAD万歳！国際協力　万歳！」という同大統領の声に、参加者から喝采が沸く一幕も見られました。

森　議長は、「TICADがNEPADに対する国際社会の支援を結集するためのプラットフォームとなることへの期待が表明された。これに対し、共催者はTICADを より組織化された形で継続し、パートナーを一層拡大していくことにコミットし、それによって、NEPADによるアフリカ再生の取り組みを支えて行くための道筋が示された」と述べました。

アフリカのためのグローバル連合 (GCA) 議長を務めるジンワラ　南アフリカ国民議会議長は、アフリカ諸国から表明された様々な懸念事項が、10周年宣言に盛り込まれたことを評価しました。そして、TICADプロセスは今後、人間の安全保障の視点をも包含する方向へと拡大してゆくべきである、と強調しました。またジンワラ議長は10周年宣言の具体的コミットメントに注目し、「我々アフリカの代表と開発パートナーは、今こそ、アフリカの子供たちが絶望ではなく希望によって満たされ、平和に生活を送れるよう、新たな一歩を踏み出すべきである。大きな自信と責任の共有のもとに踏み出されるそのような一歩が、アフリカに輝きと希望に満ちた将来をもたらすことを確信している」と述べました。