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世界中での活動実績

UNDP / 日本WID基金  
 
 

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地域別

アフリカ地域
効果的な在宅ケアのための政策及び制度的枠組みの構築 (承認額:$267,000)

サブ・サハラアフリカには、3,320万人ものHIV感染者がいると言われています。この数字は世界中の感染者のおよそ3分の2にあたり、エイズ患者の看護・介護はもはや公的なサービスで対応することは不可能になっています。公的サービスの限界を補うために、女性NGOなどが主導してエイズ患者の在宅介護や診療所での介護を相互に助け合いながら行う仕組み「コミュニティ/在宅ケア」(CHBC)が立ち上がりました。「ケアに関する労働は女性が担う」という家庭内のジェンダー役割分担にもとづき、女性たちが無償で国家・公的機関が担うはずのケア・サービスを代行しているというのが現状です。ところが、女性たちの貢献は、無償労働であるがゆえに社会・経済的価値が十分に認識されていません。当プロジェクトは、6つのパイロット国(カメルーン、ケニア、ナイジェリア、ルワンダ、ウガンダ、ジンバブエ)で実施し、コミュニティレベル、国レベル、グローバルレベルでの政策決定過程において、CHBC従事者たちのニーズと声が反映されるように支援しています。 

具体的には、生活時間調査などの手法を使い、CHBC従事者による貢献を数値化して、経済的価値を算定することを目的としたリサーチを支援しています。また、CHBC従事者たちの介護と通常の生活(家事、育児、経済活動など)を両立するためのサポートを提供しています。また、女性たちが自分たちで編み出した対応策のノウハウをパイロット国の間で共有したり、女性たちのニーズを政策レベルに提言したりする活動も行っています。

  • リサーチ: CHBC従事者の数、労働時間や生活時間の調査、薬品代、食費、交通費などの経済的負担についての統計を作成し、無償のケア労働による貢献を数値化します。
  • アドボカシー・スキルの向上: 各パイロット国で、CHBC従事者たちがリサーチの結果を活用しながら自分たちのニーズを政策に反映させていくためのアドボカシー・スキルのトレーニングを行います。また、パイロット国を中心としたアフリカ地域レベルでのワークショップを開催し、「アフリカ在宅ケア連盟」の行動計画の策定を行います。
  • 政策アドボカシー: リサーチの結果を活用し、政府や国連機関などのステークホルダーとの会合や一般向けキャンペーンを通じて無償ケア労働の経済的価値や社会貢献に関する啓発活動を行います。CHBC従事者の重要な役割や貢献、直面している問題やニーズについてのポリシー・ペーパーを作成し、政策決定者を含むステークホルダーへの働きかけを行っていきます。
アジア地域
東南アジアにおける女性及び女児のHIV感染と人身取引に対する脆弱性の削減に向けた環境整備 (承認額:$246,000) 

東南アジアでは、HIVの蔓延と人身取引の関連性について、科学的知見に基づいた分析がこれまで行われていませんでした。当プロジェクトでは、HIV感染と人身取引の根絶を目指して、政策、法的枠組み、社会経済的環境を整え、地域・国・コミュニティレベルで科学的知見に基づいた総合的な対応ができるよう支援しています。また、主要なステークホルダーが「人身取引の根絶がHIV感染の主要予防策である」と認識し、人身取引の防止に取り組むための能力向上も行っています。

実施にあたっては、メコン川流域の人身取引に対応する国連機関合同プロジェクト(UNIAP)や国連薬物犯罪事務所(UNODC), 国際移住機関(IOM), 国連エイズ合同計画(UNAIDS), 国連人口基金(UNFPA), 国連教育科学文化機関(UNESCO)などの国連機関や人身取引の犠牲者の保護・送還に携わるNGOsとのパートナーシップのもと、ハーバード大学研究チームがカンボジアや、タイ、インドネシアを周り、人身取引犠牲者のHIV感染率、感染の危険要因、健康状態に関するデータ、HIV・人口移動・性産業との関連性についての情報を収集・分析しています。結果は、2009年に発表・出版される予定です。

分析結果は、地域会合や国際会議を通じて広く普及される予定です。また、アジアの女性・女児が直面するHIVと人身取引という二重のリスクに対応するための政策提言や啓発活動に活用することで、人身取引の防止策がHIV/エイズの地域・国家戦略に組み込まれ、人身取引とHIV/エイズの活動団体が協力して防止活動を行うことが期待されています。

* 当プロジェクトは、UNDPスリランカ事務所が「国連人間の安全保障基金」からの支援を得て実施ししていた「南アジアにおける人身売買およびHIV/AIDS対策支援」プロジェクトにWID基金から追加支援をする形で継続・拡大したプロジェクトです。

アラブ地域では、6,200万人が1日1ドル以下で生活しています。2005年の1年間で、新たに67,000人がHIVに感染しました。20分に一人のスピードです。HIV陽性者の大半が女性や女児で、15歳から24歳の若い女性HIV陽性者は若い男性に比べて2倍以上と推定されています。アラブ地域のジェンダー・エンパワメント指数(GEM)は、地域別の平均値で2番目に低い上に、紛争による社会基盤・公共サービスの弱体化、性暴力や人の移動の増加など、エイズが蔓延する危険要因が深刻化しています。当プロジェクトは、UNDPが既に実施しているアラブ地域のエイズ地域プログラム(HARPAS)とUNFPA、WID基金の協働イニシアティブとして、「HIV感染の女性化」を食い止め、HIV/エイズ対策にジェンダー平等の視点を主流化させる取り組みを行っています。

具体的には、女性NGO、宗教指導者、メディア関係者、法律専門家、女性指導者などを対象としたトレーニングや地域会合を行うことで意識の向上と能力強化を図ります。また、HIV対策に関する意思決定プロセスにおける女性の参画を促し、男性や男児の意識を啓発しながら、社会のあらゆるセクターが女性・女児のHIV感染削減に取り組み、男性・男児がジェンダーに配慮したHIV対策に参画する包括的枠組み形成を支援します。

  • トレーニング:アラブの女性NGOを対象に、地域ブロックごとにトレーニングを行い、それぞれの団体の事業や行動計画にHIV問題を主流化すると共に、アドボカシー・スキルやリーダーシップ・スキルを構築します。
  • 地域会合:宗教指導者、メディア関係者、法律専門家、女性指導者、ユースのグループを集めた地域会合を開催し、女性に対する有害な伝統的慣行について認識し、女性の権利の保護と推進における宗教や伝統の果たす役割について議論します。 
  • 行動計画の策定支援:女性宗教指導者がリーダーシップをとり、ジェンダー不平等とFGM(女性器切除)などの有害な伝統的慣行について、宗教指導者のネットワークを通じた意識啓発を行います。また、HIV感染の増加の要因としてのジェンダー不平等暴力、HIV感染とジェンダーの関連に関する協議を行い、「宗教指導者のための行動計画」を策定します。
エルサルバドル
ラテンアメリカとカリブ諸国のジェンダー平等化に関する知識管理プラットフォーム(承認額:$330,420)
エルサルバドル:「ラテンアメリカとカリブ諸国のジェンダー平等化に関する知識管理プラットフォーム」プロジェクトより

ラテンアメリカ地域は、ジェンダーに関する多くの研究、方法論、専門家を生み出しました。ところが、一般の人々はそうした情報やジェンダー主流化のための方策を知らないという状況にありました。そこで、2005年7月から始まったプロジェクトでは、これまでにこの地域が生み出した知見や経験を体系化し、ポータルサイトで広く普及させることで、地域のジェンダー主流化能力の向上を目指しました。ポータルサイトAmerica Latina Generaは、唯一のスペイン語のジェンダー総合サイトです。この革新的なジェンダー情報ポータルサイトにより、知識や知見のベースの構築・管理、ジェンダー分析、技術支援、ディスカッション、また様々なアクターの能力育成など、多面的にラテン地域のジェンダー主流化の取り組みを支援することが可能となりました。

オンライン・ポータルサイト
America Latina Genera
http://www.americalatinagenera.org/
  • ナレッジ・ベースの構築と管理: 当プロジェクトの取り組みによって収集したリソースや情報に加えて、ラテンアメリカ地域に事務所をかまえる約500の組織から提供されたジェンダー関連の情報、出版物がポータル上で公開しています。バーチャル・ナレッジ・フェアをオンラインで開催することで、広範囲にわたって情報を普及させています。
  • オンライン・コンサルティング: 政府、市民社会組織、開発機関への技術支援を行っています。ポータルサイトを通して送られてくるジェンダーに関する質問や支援依頼にスタッフがオンライン上で、もしくは実際に現地に赴いて迅速に対応しています。中には、アメリカやスペインなどラテン地域外の国からの依頼もあります。依頼内容は、プロジェクトや国家戦略に関する資料のジェンダー分析や、組織のジェンダー主流化支援などです。エクアドルでは、ナレッジ・マネージメントの向上の依頼を受け、エクアドルのナショナル・マシナリー(国内本部機構)であるCONAMU (National Mechanism for Women in Ecuador)のウェブサイト上に、ジェンダーのオンライン・ライブラリーを立ち上げました。
  • 能力構築: ラテン地域の50以上の団体のジェンダーに関する学術的トレーニング・プログラムのデータベースをポータル上に開設しました。また、ジェンダーと危機管理や、人間開発とジェンダー不平等などのバーチャルコースを開発し、ポータル上で受講できるようにしました。これに連動して、「人間開発とジェンダー」についてのコンセプト・ペーパーや、「ジェンダーと危機管理」のツール・キット、「ジェンダーと気候変動」に関するリソース・ガイドを制作しました。また、「ジェンダーと経済」、「ジェンダーとディバーシティ(多様性)」に関する資料を作成し、ポータル上で公開しています。
  • 知識共有スペース: オンラインでディスカッション・フォーラムやディベートを行い、グッド・プラクティス、女性に対する暴力、災害危機管理、公共政策など、様々なテーマを取り上げ、知識や経験の共有を推進しています。

このほか、ジェンダー専門家のデータベースを作り、ロスター・システムを構築しました。政府や開発機関などのリクエストに応じて、ロスターに登録している専門家についての情報を提供しています。すべての情報や資料はAmerica Latina Generaポータルからアクセスできます。

*当プロジェクトが立ち上げたナレッジ・マネージメント・プラットフォームAmerica Latina Generaのモデルは、アジア、西アフリカ、アラブ地域などでも展開が期待されるなど、効果的なジェンダー主流化支援として高い評価を受けています。
**アラブ地域では、地域のニーズ・特色に即したナレッジ・マネージメント・プラットフォームの開発に向け、予備調査を行いました。当プロジェクトは、アラブ地域のプラットフォーム開発に向けて技術支援を行っているという点で、南々協力の好事例でもあります。

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